人と自然の共生をめざし、平成4年10月に開館した「人と自然の博物館」が、
10周年を迎えました。開館以来、県内の多彩な自然環境に関する資料や情報を
集積し、「思索し、行動し、提言する」をモットーに展示や普及教育活動を通じて、
人と自然のあるべき関係について学習するさまざまな機会を提供してきました。
館内に姫路工業大学自然・環境科学研究所を設置し、研究成果を展示や啓発にも
反映させるとともに、シンクタンク、ジーンバンク、データバンクなど、ユニークな
特徴を持った博物館として大きな成果を上げてきたところです。
この間、関係の各方面よりいただいた温かいご支援に心から感謝します。
21世紀は「環境の世紀」といわれます。今、私たちは、かつての経済優先型システム
から環境優先型システムへの転換をめざす変革期を迎えています。
現代社会は数多くの環境問題を抱えており、人と自然の調和ある共生関係の創出
が求められています。
この10年間、生涯学習社会の構築への気運が高まり、環境問題の深刻化と相まって、
自然や環境についてさらに深く学びたいという気持ちが多くの人々に芽生えつつあります。
しかしその一方、子どもたちの間で深刻な自然離れ・理科離れが進んでいるのも現実で
す。このようななか、「人と自然の博物館」には、県民の皆様の高度な知的欲求を満たすと
同時に、子どもたちに自然や環境に関心を持たせていくための取り組みも求められているといえましょう。
これらの課題に対応するため、「人と自然の博物館」では平成12年度に、人と自然の総合的理解をめざす「共生博物学」の
理念のもと、「人と自然の博物館の新展開」として、今後の博物館活動のあるべき方向を定めました。
本年度からこの「新展開」を本格的にスタートさせています。展示、資料収集・保存、研究、広報・普及などの既存事業の
充実を図るとともに、「新たなニーズに応える生涯学習の支援」と「総合的な自然・環境に関わるシンクタンク機能の充実」の
2つを重点事業として取り組みを進めます。
人と自然が豊かに調和した社会を築いていくうえで、博物館は、県民の皆様の「参画と協働」を基本姿勢にしながら、
大きな役割を果たしてくれるものと期待しています。
県民の皆様のさらなるご支援とご協力を心からお願いします。
(兵庫県知事 井戸敏三)
Copyright(C) 1999, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 2002/12/28