江田コレクションは，芦屋市出身の江田茂さんが生涯かかって収集したチョウ類と甲虫類を中心とする昆虫のコレクションで，標本の総数は２７万点に及びます．平成１３年度に，５年間にわたる標本の製作と整理・同定が終って全点が兵庫県に引き渡されました。甲虫類の紹介はまたの機会に譲り，ここではチョウ類の概要を紹介します。
チョウ類のコレクションは世界各地から集められた約１０万７千点もの標本からなり，手に入れがたいアフリカや中南米のチョウも５万点以上含まれています。アレクサンドラトリバネアゲハ，ホメルスアゲハ，コルシカキアゲハ，ルソンカラスアゲハの４種も多数あります。これらはワシントン条約の附属書第１表にあげられて，採集や商取引がきびしく禁じられており，新たに入手することが不可能に近い貴重種です。モルフォチョウ類やアグリアス類，ウスバシロチョウ類全種やチョウの雌雄型（一個体上に雌性部分と雄性部分が同時に出現した個体をこういいます。）94点など，珍しいチョウ類も多く収集されています。
江田コレクションが収蔵されて，人と自然の博物館のチョウ類コレクションは質，量ともに日本で最大級のものになりました。いくつかのグループは，世界でも最大級のコレクションと言えそうです。この量的な充実により，伝統的な展示手法にこだわらず，チョウの持つ美術的な要素を引き立てる新たな展示もできるようになり，また移動博物館で全県的に公開する，あるいは博物館で学習するときの実物教材として活用する，市町への貸し出しを行なうなど，広く県民に鑑賞の機会と場を提供することも可能となりました。活用の方法について，いろいろなリクエストや助言をいただけることを期待しています。
Copyright(C) 1999, Museum of Nature and Human Activities,
Hyogo
Revised 2002/06/26