まえに戻る  目次へ  つぎへ進む  

ひととしぜん

花粉を見てみよう


 花粉はとても小さいため、肉眼では細かい粉にしか見えません。拡大するとどのように見えるでしょうか。花粉の電子顕微鏡写真をごらんください。形や大きさが異なるとともに、表面の紋様もさまざまです。花粉のデザインは植物の種類によって変わります。

 いちばん上のトゲだらけの花粉はサワヒヨドリです。キク科の花粉の多くはこれによく似たこんぺいとう状をしています。その下の球形のつるんとした花粉はススキで、イネ科の特徴である穴が上部のふくらみに付いています。網目模様を持つのはトウガンの花粉で、網目の細かい所に溝が通っています。イタヤカエデの花粉は溝の部分がくびれ、表面には毛糸を巻いたような細いうねがあります。ミカンの形はスギの花粉、先の曲がった突起が付いています。クロマツの花粉はパンダの頭に見えませんか。耳にあたる部分は花粉が風に乗って遠くに飛ぶための空気袋です

。  このように、花粉は植物の種類によって特徴的なので、花や葉がなくてもどんななかまの植物のものか分かります。このことを利用すると、花粉の化石から昔の植生を調べることができます。地層の中に埋まっている花粉の化石を取り出し、顕微鏡で一粒ずつ観察し、どんな種類の花粉がどのくらい含まれているか数えるのです。それによって、その地層が堆積した時代にどんな植物がどのくらい生えていたのか復元できるのです。



(自然・環境評価研究部 半田久美子)

サワヒヨドリ(キク科) ススキ(イネ科) トウガン(ウリ科)



イタヤカエデ(カエデ科) スギ(スギ科) クロマツ(マツ科)



まえに戻る  目次へ  つぎへ進む  


Copyright(C) 1999, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 2002/02/25