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コケにもいろんな形や色の花があるんだ


 ここに紹介しているのは代表的な「苔(コケ)の花」、本当は蘚苔類(コケ植物)の胞子体や造精器です。胞子体の先のふくらんだ部分は朔(さく)あるいは胞子のうと呼ばれています。ここには小さな胞子がたくさん入っています。胞子は主に風の力によって遠くにとばされます。ゼニゴケの仲間では、胞子体が小さくて目立ちませんので、ここでは胞子体を支えている部分を紹介しています。


ホソミズゴケ(セン類)

 園芸でよく使われるミズゴケも、コケの仲間です。こげ茶色のコップ状の胞子体です。
ハリガネゴケ

 たれ下がったヘチマのような胞子体が特徴的です。朔が青いのは、胞子が未熟なためです。
キヨスミイトゴケ

 川沿いに生える木の枝からながくぶら下がるコケです。ながいものでは数10cmになることがあります。胞子体の短い柄と大きな朔が特徴的です。



クシノハスジゴケ(タイ類)顕微鏡写真

 タイ類の朔のなかには、胞子と弾糸があります。胞子は緑色をしていて、葉緑体を含んでいます。弾糸にはらせん状のねじれがあり、乾いたり湿ったりするとこれがバネの役目を果たして素早く運動し、胞子の散布を手助けします。
マキノゴケ(タイ類)

 タイ類の中では例外的に大きな胞子体をつける仲間です。もうすぐ朔が裂けて、胞子が外にでてくるところです。



ハリガネゴケの造精器

 枝の先にたくさんの葉に包まれて、造精器がたくさん集まっています。造精器では精子がつくられ、精子はメス植物の卵まで水の表面を泳いでいって受精がおこります。
コツリガネゴケ(セン類)

 なんともかわいらしい西洋ナシの形をした胞子体。先端の茶色の部分は朔のフタで、胞子が成熟するとはずれます。



ゼニゴケ(タイ類)

 教科書でなじみの深いゼニゴケも実際に目にした人は少ないと思います。このヒトデのような突起の裏側に小さな胞子体がついています。
ジングウホウオウゴケ(セン類)

 朔の先端にある赤いものは、朔歯とよばれるもので、セン類だけに見られます。タイ類の弾糸と似たような働きをします。



(写真 平岡環境科学研究所 平岡正三郎)
(文  系統分類研究部 秋山 弘之)

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Copyright(C) 1999, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 2001/3/14