桜の季節を迎えるころ、耕されたばかりの田畑のあいだを通って山裾に出かけてみましょう。遠くからは灰色のかった茶色に見えた山々ですが、上を見上げるとブナかなにかの新緑が陽射しの中で煙のように見え、足元には、そこが日当たりと水分に恵まれたところであれば、春植物がさまざまな色やかたちの花を咲かせています。一月後には、同じ場所は違う種類の草に覆われてしまいます。これらの植物の束の間のはかない姿は、実は、彼らの生きるための工夫でもあります。 (文・カタクリの写真 福原 達人)
(その他の花の写真 高橋 晃)
|