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よりみち自然観察ポイント
蓬莱峡・白水峡
(西宮市塩瀬町・山口町、神戸市北区有馬町)
JR宝塚線生瀬駅から有馬温泉方面にむかって県道51号線をのぼっていくと、左前方に写真のような、奇妙な岩山が見えてきます。これが蓬莱峡で、東洋のグランドキャニオンとも呼ばれ、六甲山地のなかでも代表的な登山ルートの一つになっています。ヘアピンカーブをまがり、蓬莱峡バス停までくると、全体がよく見渡せます。さらに船坂をぬけ急カーブを曲がると、左側に同様の景観が見られ、こちらは白水峡と呼ばれています。
蓬莱峡と白水峡は、ともに著しく風化した花崗岩でできています。崩れやすい砂状に風化した花崗岩はマサ(真砂)と呼ばれ、そのような土地は水はけがよく、一度伐採が行なわれると、植生がなかなか回復しないため、バッドランドと呼ばれる禿げ山になります。そして雨水による浸食でV字型の溝がいくつもでき、写真のような景観となるのです。
蓬莱峡や白水峡のようなバッドランドが特にこの谷沿いで見られるのは、この谷に沿って通る六甲断層の運動によって周囲の岩石が破壊され、特に風化が進んだためと考えられています。六甲断層の露頭は白水峡の道路を挟んだ反対側の崖に見られます。また、写真ではわかりませんが、蓬莱峡の高いところには、段丘礫層が見られ、この断層運動で六甲山地側が隆起したことを物語っています。
(地球科学研究部 先山 徹)
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Copyright(C) 1997, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 1997/07/16