◇ 収蔵資料紹介

ブランデーガイ  人工的につくられた合成樹脂やプラスチツクが出回る以前 は、貝がらがボタンの素材として使われていました。オース トラリア大陸の北に位置するトレス海峡の木曜島やアラフラ 海には、明治末頃から大正、昭和にかけて日本人ダイバー (和歌山県古座川沿いの農村出身の人が多かったそうです) が数多く出向き、シロチョウガイをはじめ、クロチョウガイ、 サラサバテイ(タカセガイ)などを採取しましたが、これら の貝は、ヨーロツパの貴婦人の胸を飾るような高級貝ボタン になったのです。ブランデーガイ(写真)の名前は、貝の採 集に出向いた日本人ダイバーが、副産物としてこの貝も採集 しておき、貝がらの好きな白人と、この貝をブランデー1本 で交換したことに由来します。ブランデーガイは、ガクフボ ラ科の巻き貝で、水深10〜40メートルの砂底に生息する 非常に稀な種です。 (生態研究部 武田 淳)

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Copyright(C) 1995,1996, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 1996/01/12