◇ ミユージアムメイトの心に残る出逢い 

 私はこの春、遠足で館にやって来られた小学校1年生 の女の子との出会いが忘れられません。ちようど2階か ら1階へ下りるスロ−プからプナ林のジオラマを見てい る時のことでした。私が「あの大きな木の後ろにクマが いるよ。」と言うと彼女は怖そうな顔をしました。そこ で私が、「怖くないクマさんだよ。」と言うと急に顔を 輝かせて、「じゃあ国語のクマさんといっしょ!」と言 うのです。「それ何?」と聞くと、とても大声で詩を暗 唱しはじめました。彼女は上向き加減に、自信たっぷり にまっすぐな目で最後まで読みあげました。詩の内容は、 冬眠から目覚めたクマが自分が誰だかを忘れたけど、川 に映る顔を見てクマだったと気付き喜ぶ・・・というも のなのですが、彼女のまっすぐな目を見ていて私はその 詩がとても深い意味を持っているように感じました。子 どもたちと話すと自分はたくさん落とし物をしているよ うに思います。私はメイトの仕事を通して、やって来る 子どもたちから、心の中の宝物をたくさんもらいたいと 思います。(太田 晶子)

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Copyright(C) 1995,1996, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 1996/01/12