博物館に望むこと

三田市長 塔下真次

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 昨年10月、県立「人と自然の博物館」がオープンして以来、三田市民はもとより、全国各地から多くの方々が訪れ、伺いますと、本年1月24日に入館者が、5万人を突破するほど、人気を博しております。特に子供たちにパネル、映像や模型を使った展示が人気を集め、大人でも兵庫の自然など生活に密接した展示内容が関心を呼び、1日では見ることができず、繰り返し訪れる人が多いようです。私も宇宙、地球規模の壮大な展示や私たちが生活する周囲や大地で繰り広げられる自然の営みなどの展示にふれると、数々の感動を覚えますが、来館者の方々も同じような感動を味わっておられるのではないでしょうか。
 このように多くの人が訪れるのは、今日、自然破壊、環境汚染等の問題をはじめ、資源エネルギー問題等が地球規模の課題として認識されつつあるなかで、博物館が「人と自然の共生」をテーマに人と自然の間に立って、生命の大切さと自然の本質を学び自然との調和、自然との共生の方向と指針を分かりやすく提示し、考えることを提案するユニークな施設として注目され、その結果が大きく期待されていることにほかならない証左だと思います。
 また、この博物館は、三田市が進める温かい心がふれあう、花と緑と水の豊かな自然に恵まれた、魅力あふれるふるさとの創造を希求する「こころのふれあう田園文化都市」づくりにふさわしい施設であり、自然と調和したアメニティの高い都市づくりのシンボルとして位置づけられるだけでなく、北摂、北神、丹波及びその周辺地域の文化活動の拠点として、人間性豊かな新しい文化の向上、発展をリードするものとして大いに期待されます。
 今後の課題として、平成7年に開学される関西学院大学新学部や民間の研究機関群、市内の各文化施設との有機的な連携や交流を行い、学術、文化のネットワーク化を図っていくことが必要だと考えており、博物館に中心的な役割を果たしていただくことを期待しています。
 さらに、博物館は、県立姫路工業大学の自然・環境科学研究所として位置づけられていますように、生命、文化、環境、都市、生物など人と自然に関する各分野の専門知識や学際的な資質を備えた多くの専門家を配置されています。三田市は、自然、環境を豊富に蓄積する一方、急激な人口増加を伴う、全国的にもユニークなまちづくりを進める都市です。このような市の教材を活用して、自然探訪などの観察会、生物の歴史を学ぶ講座、新しい都市づくり研究会など開催され、県民、市民の参加、学習の場を積極的に提供していただくよう願っています。
 あわせて、本市行政を推進していく上で、博物館の各分野にわたる先生方の行政参画をお願いし、市政発展にご協力、ご指導を是非いただいてまいりたいと考えております。

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Copyright(C) 1998, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 1998/03/20