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ハーモニー NO.3 (平成5年1月)



表紙写真説明

「樹上の若いニシローランドゴリラ」

アフリカに住む大型類人猿、ゴリラは、現在三亜種に分類されています。その内、ニシローランドゴリラは、アフリカ中央部の熱帯雨林に住む一亜種です。ニシローランドゴリラの体毛は短く、時には、頭から肩にかけて生える毛が美しいオレンジ色に染まります。
 ニシローランドゴリラは、果実や単子葉類の新芽が大好物で、おなじ森に住むゾウやチンパンジーと共通の果実を採集します。その意味では、ニシローランドゴリラにとって、ゾウやチンパンジーは、果実という植物資源をめぐる生態学的な「競争者」といえるかもしれません。
 ニシローランドゴリラは、森の中のあちこちに糞をします。糞をする事によって、採集の時に飲み込んだ種子を森の中にばらまいてやります。その種子から芽生えた若木は、やがて立派な成木へと成長します。つまり、ニシローランドゴリラは、知らず知らずの内に次世代の熱帯雨林を育てているわけです。
 私たちヒトにとって、ゴリラを守ることは熱帯雨林を守ることに通じるのです。

(文と写真 生態研究部 三谷雅純)   



Copyright(C) 1998, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 1998/03/20