平成4年度「自然との語らい入門講座」

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三田市周辺で実施

 平成2年度の自然系博物館設立準備室時代から続けている「自然との語らい入門講座」を本年度も6月6日から実施し、7月19日をもって全日程を無事終了しました。
 今年のテーマは、人と自然の博物館が本年4月1日に、ここ北摂三田の地に設置されましたので、三田市周辺の自然を研究されている研究者と、博物館の研究員とが協力し、地元の自然を知ろうということを目的として、「身近な環境、今と昔」としました。
 学習形態は、一昨年の講義を中心とした講座、昨年の実習を中心とした講座をミックスしたような形態をとりました。それは土曜日・日曜日をひとつのセットとし、土曜日には講義形式で講師の話を聞き、翌日の日曜日には前日の学んだことを実習する形態です。聞き、見る、さわることにより、より学習効果が高まるものと思い実施しました。そして、土日でひとつの分野の学習を行い、全体で異なった4分野の学習を8回にわたり行いました。くわしい内容については、表1のとおりです。
    表1
  1. 6月 6日 開講式、オリエンテーション
          人の影響下に生きる野鳥たち
    講師:芝野照久<三田野鳥の会>
       江崎保男<兵庫県立人と自然の博物館>
  2. 6月 7日 野鳥観察会
    講師:芝野照久<三田野鳥の会>
       久後英世<三田野鳥の会>
       門 賢司<三田野鳥の会>
       江崎保男<兵庫県立人と自然の博物館>
  3. 6月20日 三田の土台を造ってきたもの
    講師:吉田久昭<大阪府立北野高等学校>
       先山 徹<兵庫県立人と自然の博物館>
  4. 6月21日 JR道場駅付近の地層観察会
    講師:吉田久昭<大阪府立北野高等学校>
       先山 徹<兵庫県立人と自然の博物館>
  5. 7月 4日 人と植物
    講師:真野 隆<兵庫県立中央農業技術センター>
       畠中知子<兵庫県立人と自然の博物館>
  6. 7月 5日 布引ハーブ園見学 
    講師:東野 太<(財)神戸市公園緑化協会>
       畠中知子<兵庫県立人と自然の博物館>
  7. 7月18日 都市公園のできるまで
    講師:中瀬 勲<兵庫県立人と自然の博物館>
       辰己信哉<兵庫県土木部公園街路課>
       長尾輝治<住宅・都市整備公団>
  8. 7月19日 “神戸三田”国際公園都市見学、 閉講式
    講師:中瀬 勲<兵庫県立人と自然の博物館>
       西脇久純<兵庫県都市住宅部新都市計画課>
 今回の講座への参加者を募ったところ、締切日までに72名の応募がありました。予定していた定員よりややオーバーしましたが、できるだけたくさんの方に学習してもらえばと考え、応募者全員を受講生としました。受講生の様子は、表2、表3のとおりです。受講生の住所別の割合は、三田市の方が全体の30%、神戸市の方が46%、その他の市町の方が23%でした。年齢別にみると、9歳から75歳までと大変幅が広く、全受講生のうち表3の数値から百分率で表すと、五十歳代の方が全体の24%と最も多く、四十歳代の方と六十歳代の方が21%、三十歳代の方が15%という状況でした。男女別にみると男性が全体の65%、女性が35%となっています。一昨年、昨年度と比べてみると、一昨年の平均年齢は、52歳、昨年は56歳、今回は、46歳で随分若くなっています。その原因として考えられることは、”神戸三田”国際公園都市を含む三田市及び丹有地区に住まれている方の応募が多くなったことからであろうと思われます。受講生の中には、一昨年から3年連続受講されている方が多いことにも驚きました。
 今回の講座は日程的にややきつく、実習日に雨が降ったり、突然の猛暑の日があったりと天候に恵まれなく、やや出席率も低かったのですが、この講座の最終日には、29名の方に修了証を授与しました。
 今回の講座の特徴としては、年齢層が低くなったこと。三田市周辺の方が今までほとんど受講されていなかったのに多くの方が参加していただけたこと。反面、神戸市を中心とした阪神間の方が少なくなったこと。北摂三田の自然を観察することをとおして、地元を研究されている研究者と博物館の研究員との交流ができたこと。などが考えられます。
 さて、今回も講座の最終日にアンケートと感想文を書いていただきました。以下、アンケート(回収数27)の概略をまとめます。
 まず、受講生の職業(退職の方は前職)は、会社員11名、地方公務員8名、学生・生徒2名、自営業1名、記入なし1名でした。講座に応募した動機についての問い(複数回答可)では、自然観察に興味があったから19、色々な新しい知識を得るため15、地元の自然を知るため10、博物館に興味があったから9、面白そうだったから8、などが多いところです。
 次回も参加するかの問いには、25名が参加、1名が不参加、1名がわからないでした。
 今後学んでみたい講座内容は、昆虫を含めた動物関係8、植物関係5、天文関係3、環境問題、水質関係、自然・博物に関することがそれぞれ2ずつでした。
 アンケートと同時に書いてもらった感想文を一つだけ紹介します。無記名でしたのでどなたが書かれたかはわかりません。

***** ***** *****  感想文  ***** ***** *****

 まず、県立の、しかも人と自然の関わりをテーマとした施設がこれほど身近に出来、市民としてとても嬉しく光栄に思います。特色があり21世紀を啓示するような博物館であってほしいと思います。関係者の皆様、さぞかし大変でしょうが頑張ってください。
 人間はこれまで随分”ひどいこと”を地球に対してしてきたものだなあと恥入る気持ちで一杯です。動植物をいじめ水や空気を汚した結果、人体が蝕まれていたなんて愚かしい限りで失ったものの多さとその時間の短さに、この先自然はどうなっていくのかと不安になってしまいます。共存なんておこがましいほど人間は大自然の前では微力であることを再認識すべきでしょう。保護は早急に、開発は慎重にと哀願します。自然は一度手を入れますともう決して元の自然ではありません。慈しみの気持ちを忘れずに接したいものです。一個人としては、資源や生命を大切にシンプルライフを心掛けます。自然破壊の荷担はしたくありませんから。
 博物館の研究員の方々と館外の専門家の講義が受けられ、実習も楽しく勉強になり感謝しています。又会場も色々な施設を使用させて頂き、新参市民が三田市を知る良い機会となりました。10月の開館を心待ちにしています。

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Copyright(C) 1998, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 1998/03/20