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ハーモニー 創刊号 (平成4年7月)
表紙写真説明
「ウミユリの群集の化石」
産地・・・アメリカ合衆国、インディアナ州
時代・・・石炭紀前期(約三億五千万年前から三億二千万年前)
ウミユリは、棘皮動物(ウニ、ナマコ、ヒトデの仲間)に分類されます。写真の化石では、細かい節のある長い棒状のところが茎、その先の丸いところがガク、箒の先のように見えるところが腕です。生きていたときは茎を海底面からまっすぐ上にのばし、腕を花のように広げて海水中のプランクトンをこしとって食べていました。古生代のオルドビス紀からペルム紀(約五億年前から二億五千万年前)にかけて、ウミユリの仲間は大繁栄しました。古生代のウミユリは、茎の長さの異なる数種からなる群集をつくり、海底面の上1メートル以上の所までの空間をたくみに住み分けていました。
現在では長い茎をもったウミユリは深海に細々と生き残り、浅海には茎を失ったウミユリであるウミシダしかいません。浅海から長い茎をもつウミユリがいなくなったのは、海底の動物をおそって食べる捕食性の動物が増加したためだといわれています。
(地球科学研究部・三枝春生)
Copyright(C) 1998, Museum of Nature and Human Activities, Hyogo
Revised 1998/03/20