−古生代の世界−

 人と自然の博物館では、2006年2月18日(土)から6月11日(日)まで、企画展「古生代の世界」が開催されます。

    古生代とは、生物の歴史において最初に固い殻や骨格をもった多様な生物が現れた時代で、その最後に起こった生物の歴史上最大の大量絶滅事件によって終わってしまいました。何年前なのかといえば、およそ5億4千万年前から2億5千万年前までの約3億年間です。古生代の代表的な生物としては、海では、三葉虫(写真1)、ウミユリ(写真2)、腕足類(写真3)、陸上ではリンボク(写真4)などがあります。    
     
 
 

   
  写真1:三葉虫(オギギヌス、イギリス産、オルドビス紀)   写真2:ウミユリ(ジンバクリヌス、オーストラリア産、ペルム紀)

   

 

 

写真3:腕足類(マクロスピリファー、アメリカ産、デボン紀)   写真4:リンボク(レピドデンドロン、アメリカ産、石炭紀)
 
  日本には、山口県の秋吉台の石灰岩など、古生代につくられた石灰岩が各地で見られます。それらの石灰岩に含まれる化石として最も普通なのが、実はウミユリや腕足類なのです。それらの化石はあまりにも普通すぎて、趣味で化石を採集しておられる方には、よほど保存がいい場合を除いて、あまり相手にしてもらえません。

 しかし現代では、古生代の終わりに絶滅してしまった三葉虫はもとより、ウミユリや腕足類もあまり目にすることができない生物です。ウミユリは、私たちにおなじみの生物で言えばウニ、ナマコ、ヒトデなどが含まれる、棘皮動物に属する動物です。古生代に繁栄していた種類は柄によって海底に固着し、萼の部分から腕を広げて、海水中を漂っている懸濁物をエサとして捕らえていました。このようなタイプのウミユリは現在では深い海にしか残っていません。腕足類は二枚の殻をもち一見すると二枚貝に似ています。しかし、巻き貝やイカ、タコなどが含まれる軟体動物に所属する二枚貝とは大きく異なった動物です。二枚貝とは違って左右対称な殻をもち、一方の殻からのびた茎によって海底に固着して生活するものが多くいました。ウミユリや腕足類のように、海底に固着して生活するタイプの生物が多いのが古生代の海の特徴でした。

 2億5千万年前よりも後の時代は中生代と新生代とに分けられています。中生代は恐竜などの爬虫類が繁栄した時代、現在を含む新生代は哺乳類の繁栄によって特徴づけられる時代です。中生代の終わりには恐竜などが滅びる大量絶滅事件があったのですが、生物界全体では古生代末ほどの規模ではありませんでした。古生代末の大量絶滅事件の規模はとても大きく、海の生物の種のうち、95%もが絶滅したとも言われています。古生代に繁栄した生物の多くが古生代末の大量絶滅事件によって滅びてしまったため、古生代の生物と中生代以降の生物とは大きく異なっています。現在の生物は古生代の生物の子孫であることは言うまでもありませんが、古生代には、それ以降の生物世界とは大きく異なった別の世界があったと考えることもできるのではないでしょうか。

 

 話変わって、化石の面白さのうちの大きな要素は、現代の生物とは異なったものが、言葉を代えると、変な生き物がいるというところでしょうか。その意味で古生代は変な生き物の宝庫です。たとえば座ヒトデ類(写真5)です。座ヒトデはウミユリと同じく棘皮動物に含まれるグループですが、ウニの殻の上にヒトデが乗ったような奇妙な殻をもっています。その他にも、一見したところ木ねじのような殻をもったテンタキュリーテス(写真6)、断面で見ると個体が鎖のようにつながったクサリサンゴ、ハチの巣のような群体をつくったハチノスサンゴなど、化石ならではという生き物を多数展示します。ぜひ人と自然の博物館でご覧ください。

 

 
 
    写真5:座ヒトデ(赤矢印、イソロフス、アメリカ産、オルドビス紀)   写真6:テンタキュリーテス(テンタキュリーテス、ウクライナ産、シルル紀−デボン紀)
 
 

 (自然・環境評価研究部  古谷 裕)


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