「岡山県津山市より産出したオキナワアナジャコ属新種化石」
1 主旨
ひとはく地域研究員である岸本眞五氏が2013年から2014年にかけて、岡山県津山市吉井川支流皿川の川底より採集したノジュール中より多数のオキナワアナジャコ属の化石を発見しました。
化石は岐阜県瑞浪市立化石博物館の安藤祐介博士により研究され、2016年4月にオキナワアナジャコ属の新種として"タラシナ・ツヤメンシス"( Thalassina tsuyamensis ANDO & KISHIMOTO )と名付けられました。岸本眞五氏はこの新種の基準となった模式標本5点(完模式標本1点、副模式標本4点)を2015年に兵庫県立人と自然の博物館に寄贈されました。"タラシナ ツヤメンシス"が発見されたのは皿川川底に露出する勝田層群吉野層であり、日本海拡大期の1600万年前に干潟で堆積した地層であります。吉野層は以前から大型の巻貝で有名なビカリヤやヒルギシジミ類(マングローブシジミ)の化石の産出が知られていました。今回、オキナワアナジャコ属の化石が産出したことにより、1600万年前の津山市一帯が熱帯から亜熱帯に属し、マングローブ干潟様の干潟が広がっていたことが補強されました。また、1600万年前は熱帯海中事件として地球が熱帯化した時期として知られます。この地質学イベントに際して、かつて、中国山地が熱帯から亜熱帯の海が広がる海域であったことが分かります。
今回の展示は、ひとはく地域研究員の活動の成果として新たなオキナワアナジャコ属の化石種が発見されたことを記念して開催します。また、この展示を通して、ひとはく地域研究員の活動が活発となり自然科学の進歩へと資していくことを期待します。
2 展示概要
(1)期 間:平成28年7月23日(土)〜10月23日(日)終了しました。
(2)場 所:兵庫県立人と自然の博物館 3階トピックス展示コーナー
(3)展示物:タラシナ・ツヤメンシスの完模式標本、副模式標本、関連資料等
3 担当
兵庫県立人と自然の博物館 自然・環境評価研究部 研究員 菊池直樹
4 展示物(例)
オキナワアナジャコ属新種の タラシナ・ツヤメンシス ( Thalassina tsuyamaensis )
(左:完模式標本、右:副模式標本)