「学んで魅せる標本展」
博物館に収蔵されている様々な方法でつくられている標本づくりの技法を紹介します。学術用につくられた標準的な様式のものや特定の研究テーマ用に特化したもの、あるいは展示や学習用に特化したものなど、一口に標本といっても多様な種類があります。オーソドックスな昆虫標本や液浸標本だけでなく、本物の生物から型どりした超精巧な模倣品や3Dプリンタの活用、骨格や種子、細胞や遺伝子だけを取り出して保存することもあります。展示や観察用の標本に、100年以上前から普及している学校の理科室用の解剖標本もあれば、医学教育用の模型標本やプラスティネーション標本、身体を透明化して神経や骨格の構造を"見える化"する透明化標本など、今も技術は進歩しています。
最近では、川の水を汲んで水中のDNAを分析するだけでその生物相が分かる技法や、1枚の風景写真で全体の風景から地面にキノコが生えている様子までを記録する高精細画像を撮る技術もあります。学術分野以外にも、標本作成の技術は、食品サンプルやアクセサリーなどの身近な商品に活用され、あるときは逆に商業製品から標本づくりの技法に技術移転されることも少なくありません。
この展示では、こうした標本が持つ多面的な役割について最新の科学研究から身近な学習素材を交えて紹介したいと思います。また、企画展にあわせて関連するイベントも開催いたします。学術的なものから、家庭でもできるオブジェづくりなどを体験するワークショップを予定しています。関心のある方のご参加をお待ちしております。
1 展示概要
(1)期 間:平成27年7月18日(土)〜 11月15日(日)終了しました。
(2)場 所:兵庫県立人と自然の博物館 2階 ひとはく多様性フロア
(3)展 示 物:学術用ならびに展示用に用いられる25種類の標本製作方法によって作成された
標本(約50点)を展示
(4)主 催:兵庫県立人と自然の博物館
(5)協 力:神戸大学大学院人間発達環境学研究科(源研究室)、兵庫県立御影高等学校
札幌市博物館活動センター、えぞホネ団、認定特定非営利活動法人四国自然史科学研究センター
株式会社アクアテイメント、 マップコンシェルジェ(株)
2 関連の講座
(1)解剖の日ワークショップ
日 時:平成27年7月20日(月・祝) 11:00~16:00 終了しました。
場 所:中セミナー室・実習室・実験セミナー室
内 容:様々な生物の解剖を実演するワークショップを行います。
担 当:兵庫県立人と自然の博物館 自然・環境マネジメント研究部 研究員 高木 俊
(2)自然史標本を魅せる多様なアプローチ
日 時:平成27年10月25日(日) 13:30~16:30 終了しました。
場 所:大セミナー室
※当日のようすはこちら
(3)魅せる標本づくりの日ワークショップ (スーパードリームスタジオとの共催)終了しました。
日 時:平成27年11月15日(日) 10:00~16:00
内 容:さまざまなタイプの標本作りを体験できる参加型ワークショップです。
*いずれも事前の申し込みは不要です。
3 担当
兵庫県立人と自然の博物館 自然・環境マネジメント研究部 主任研究員 三橋弘宗
4 関連する展示物
展示する主な標本の種類は、実物標本およびその二次資料となります。内容は以下のとおり。
【実物の標本および加工物】
・プレパラート標本
・各種乾燥標本(昆虫、植物など)
・液浸標本(魚や両生類など)
・透明化骨格標本
・哺乳類の骨格標本
・プラスティック封入標本
・ポリエチレングリコール含浸標本
・プラスティネーション標本
・解剖標本
・DNA標本
【二次標本】
・3Dプリンターにより作成した標本レプリカ
・シリコン等による型どり標本
・3億画素数の高精細な風景画像
・行動等を記録した動画資料
写真:魚類(カワハギ)の透明化骨格標本 写真:キノコ(イカタケ)の封入標本 写真:魚類(カサゴ)のプラスティネーション標本
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