六甲山のキノコ展 〜ミニ展示ガイド 【vol.1】〜
〜カラカサタケ編〜
ただいま、ミニ企画展と称しまして、博物館の4Fひとはくサロンでは、御影高校・兵庫きのこ研究会との共催によります「六甲山のきのこ展」を開催しておりまして、約80種類のキノコを展示しております。いろんな新聞にとりあげて頂きまして、おかげさまで好評を博しております。
ですが、展示スペースが小さいので、キノコをぎゅうぎゅうに詰めて展示しております。その関係で、ひとつひとつのキノコについてしっかりと解説ができておりません(スペースがあっても実は僕には無理なんですが・・・)。そんなわけで、今回のキノコ展の立役者でもあります「兵庫きのこ研究会」の皆さんに協力いただいて、展示中のキノコを解説してゆきたいと思います。
展示期間中の5/31までに全部解説が終わるかどうか・・・、ちょっと不安ですが、キノコの生態写真と標本写真、面白い特徴や生態を紹介したいと思います。キノコと言えば、「毒」、「美味」。そんな話題も交えて紹介したいと思います。
キノコに関心をもった方は、ぜひ、博物館のミニ企画展に足を運んでいただければと思います。5月31日まで開催しております(キノコ展で長い期間展示できるのは、特殊加工のおかげ!そしてひとはくだけです!)。
http://hitohaku.jp/exhibits/temporary_old/2008/mini08.html#minikinoko
第1回目に紹介するのは、「カラカサタケ」です。展示コーナーの中央に置いています。
なんで中央にあるのか、っていうことですが・・・。
実は、大きくて目立つキノコなので御影高校の元気な野郎どもが、「オオモノ発見〜!」っと、本能の赴くままにいっぱい採りまくったからです。たくさん標本ができちゃったから、真ん中に置いてるだけで、深い意味はありません。言いかえれば、「目につきやすく、親しみやすいキノコ」なのかも知れません。
標本の仕上がりもまずまずです。ちょっと樹脂を塗りすぎたものもありますが・・・。この種は、凍結乾燥で標本にするとき、表面にあらかじめ糖アルコール(ポリエチレングリコールの分子量400+エタノール希釈)を薄く塗っておくと、カラカサの模様がポロポロはがれずに残ります。もともと固くて柔軟性があるので、標本にしやすい種類です。キノコ標本作製の難易度でいえば、★★★(満点は★5つ)でしょうか。
では、カラカサタケについて、兵庫キノコ研究会の山上公人さんに聞いてみました。
カラカサタケ (vol. 1)
夏から秋に日当たりの良い雑木林などに発生するキノコ。大型のうえ、すら〜っと背の高い姿は山の中でも良く目立ちます。柄は固いが傘は綿のように柔らかく、ギュッと握っても壊れることなく元に戻ります。この事からニギリタケと呼ぶ地方も有るそうです。ツバにも特徴が有り、リング状で上下にスイスイ動かすことが出来きます(下の写真をご覧ください)。まるで、子供のおもちゃに使えそうです。
全体に地味な雰囲気だが、特徴的な色合いに「わび・さび」を感じるのは私だけでしょうか?
食用とされているので何度か食してみたが、ほろ苦うえに食感も悪く、油も良く吸います。個人的には美味しいとは思わないが読者の皆さんは如何でしょうか?ただし、良く似たキノコに有毒の物も有るので要注意。なお、生食は中毒します。
柄の部分にあるリング状のものが特徴です
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皆さんの身近にも生えているキノコということで、観察のチャンスはありそうですね。発見したら、ぜひ握ってみて頂ければと思います。握ってもじわじわ形が戻るっていうのは、流行りの低反発樹脂みたいですね、枕とかに使われているやつです。このキノコを研究すると低反発樹脂の新製品開発に役立つかも知れませんね。
握った手は、ちゃんと洗ってくださいね。もちろん、生食は厳禁です。
次は、イボテングタケを紹介したいと思います。
もっと兵庫のキノコを知りたいひとは、「兵庫キノコ研究会」の美しいホームページをご覧ください!
http://www.hyogo-kinoko.jp/
【注意】
キノコの鑑定には十分な注意が必要です。初心者が、ホームページや図鑑を見て、食用できるかどうかを判断することは、大変危険です。食用と判断できない時は確実に鑑定できる専門家に尋ねてください。素人判断で食用することで、毎年のように死亡事故が発生していますので、不用意に食べることはお控ください。
(みつはし ひろむね)