8月8日(水)には、三田の一番北側に位置する武庫川本流では、毎年恒例の「三田の川ガキ養成講座」が行われました。この会合は、「武庫川上流ルネッサンス懇談会」によるイベントです。三田市を流れる武庫川を活用するために、河川を管理する県の土木事務所だけでなく、三田市や大学、博物館、学校、NPOなどの住民団体などがあつまって、川づくりを考える会合です。かれこれ7年目を迎えています。観察会はもちろんのこと、魚道づくりや川の改修など、たくさんのかたが参加されています。今風にいえば、川という地域資源に対して、多様な主体による参画と協働が進められているといったところです。全体を統括しているのは、兵庫県県土整備部の三田業務所の方々です。
いつも環境に対して理解のある取り組みをして頂いております。
観察会の様子は、こんな感じで、平日にも関わらず、100名を超える方々が参加されて、川はごったがえしました。ご参加ありがとうございます。
この場所は、多自然川づくりに重きを置いて設計されて、自然環境にかなりの配慮がされています。おかげで、貴重な魚類や底生動物をはじめ、たくさんの生物を観察することができました。川へのアプローチもしやすく、川での環境学習と生態系の保全がうまく調和しています。国土交通省からも表彰された事例です。
採集した生物は、このように水槽にいれてみんなが見れるように並べます。そして、ひとつひとつ解説してゆきます。解説は、この懇談会のメンバーでもあるNPO法人野生生物を調査研究する会の谷本さん(当館の地域研究員でもあります)と株式会社一成の山田さん。さらに生物の採集や解説には、伊丹北高校、有馬高校、篠山産業高校丹南分校、篠山鳳鳴高校のそれぞれ生物部などの関心のある生徒さんも加わって、応援いただきました。高校生のみなさんが、子ども達に生き物のとり方などを教えてくれます。そして本気で採集も・・・。
高校生のみなさんは、こんな感じで投網を投げて、観察用の生物を捕まえていただきました。なかなか様になっています。きっと、県内でバシっと投網を投げられる高校生は希少だと思います。かっこいいですね。もちろん、たくさん魚をとれました、日頃の努力の賜です。
このあとは、河原の植物についての解説とそれを食べる・飲む体験となります。野草の解説や食べ方については、NPO法人人と自然の会の岡田さん、木村さん、さらには調理には関西学院大学久野研究室の学生さんが担当されています(川づくりと市民活動について実践研究中!)。野草は、もちろん独特の野性味があったのですが、子ども達も親もみんなパクパク、ゴクゴクでした。そしてメインイベントへ・・・。
採った魚を唐揚げにして食べます。最初はおっかなびっくりでしたが、誰かが「美味しい!」というと、どんどん消費されてゆき、あっとゆう間に完売。淡水魚は、捕ってから早く調理すると、とっても美味。ぜひ、挑戦してみてください(注:生食はダメです)。
ということで、たくさんの皆さんに川の恵みをいろんな形で体験いただきました。おそらく、来年も8月のはじめに「川ガキ養成講座」を開催すると思いますので乞うご期待です。このほか、この懇談会では色んな取り組みが行われていますので、HPもご覧頂ければと思います。
(おまけ)
この地区の川や水路には、メダカやドジョウがたくさん棲んでいます。この理由のひとつは、田んぼの脇をぐるりと、ちょっとした溝が掘られていて、日照りが続いても水生生物が困らないような工夫がされています。そして、田んぼ−水路−川がつながっています。維持には手間がかかるのですが、こうした配慮がところどころに。見た目は地味なんですが、生態系の保全という点では効果てき面で、最先端の取り組みです。この取り組みは、今回の観察会の段取りを中心的に進めてくださっている日出坂せきもりの会の松下さんらによるものです。いつもありがとうございます。環境体験学習と生態系管理、地域づくりは表裏一体であることも知っていただければと思います。
(みつはし ひろむね)