7月2日に大阪市立自然史博物館で開催された
  「赤ちゃん(0・1・2歳児)連れ来館者対応を考える研究会」
に参加してきました。

館内見学中
(館内を案内していただいている様子)

この研究会は、西日本自然史系博物館ネットワークが企画されたもので、さまざまな博物館から40名ほどが参加されていました。ネットワークの事務局でもある、当館の三橋主任研究員から声をかけていただいたおかげで、ひとはくからは、フロアスタッフ7名、キッズひとはく推進室2名… 総勢9名のメンバーが参加しました。
研修会風景〜♪

昨年度から始まったキッズプログラム。今年度は、約150名のキッズが大使として任命されました。ひとはくにも、大勢のかわいい乳幼児の方々が来館されています。
私たちフロアスタッフは今まで、小学生を対象としたイベントづくりをしてきたのですが…
乳幼児の方々が喜んでくださるイベントはなんだろう?対応はどうしたらいいのかな?

フロアスタッフとして、「どのようにみなさんをお迎えしたらいいのだろう」と悩んでいるところだったので、「まさに、持って来い! ! ! 」のテーマでした。

実際に、赤ちゃん向けのプログラムを実施されている『伊丹市昆虫館子育てがもっと楽しくなるミュージアムづくり研究会と共同)』や『兵庫県立考古博物館』の発表を聞きました。
他の施設の試みに目からウロコ。二館ともプログラムの実施に向けての方向性を最初の時点で明確にされていました。

その後、討論会が始まりました。
博物館でのプログラムは乳幼児に向けて行うべきか?親に向けて行うのか?
受け入れ側のハード面は充実しているか?
展示施設での気配りはどうしているか?これからはどうすべきか?
みなさん、それぞれの方法で取り組まれていて、大変参考になりました。

さまざまな意見がでました^^

(各館の具体的な取り組みを黒板に書き出し)


赤ちゃんを連れたお母さんは平日を子育てセンターや公園などでワンパターンな過ごし方をされています。そこで、新しい事として『博物館』を非日常として選択されます。
その時、親の視点で魅力があり、刺激のある学びや遊びがあれば、『また来館しよう!』と思っていただけます。そのためにも、赤ちゃん連れ来館者に向けて、ウェルカムな雰囲気を作ったり、
人による声掛けや気配りなどきめ細やかな対応(サービス)が必要なのです。
私たちフロアスタッフは重要な位置にあるのだと再認識できました。

他の施設の方では、乳幼児スペースの近くには、必ずスタッフの目があるというお話でした。
安全・安心面を考えたら当然のことですが、お客様に快適に博物館をご利用いただく上でも、またフロアスタッフのこれからを考える上でも、大変参考になりました。
これからどうすべきかは、どの館でも試行錯誤されています。
このような研究会を通して、フロアサービスの充実に向けた情報交換が、今後もできればと思います。

笹山由利子・瀬良裕子(フロアスタッフ)



NPO法人西日本自然史系博物館ネットワークの事務局ということで、当然ながら勉強会に参加してきました。会合のはじまる前には、大阪市立自然史博物館内ですこし展示解説や技法解説を行いました。みなさん、特に子ども向けワークショップやキッズパネルなどに関心があり、フォントは?デザインのカラーバランスや文字数の少なさなど、妙な盛り上がりでした。子どもの書いた絵をどうやって貼っているか、など参考になりました。

さて、勉強会ですが部屋はほぼ満席で、参加者は約40名、13の博物館(+大学生、NPO、展示会社のかた)が参加。話題提供は兵庫県の2つの博物館です。2館ともに、早い段階からキッズプログラムの開発に取り組んでこられ、地域の方々やボランティアさん、幼稚園の先生方の協力を得て、綿密に企画を練って来られてきたプロセスを報告いただきました。どちらもそうですが、外部の方、とくに子育て分野や見せ方に精通されている方が参画され、実演などを通じて相互評価・批評することの効果がとても大きいように思いました。
 総合討論では、当館のスタッフから、「キッズコーナーでの子どもの野放し問題(親はいずこへ?)」についての問題提示があり、これを口火に各館での具体的な対応が引き出されました。それぞれの館での独自の取り組み、考え方、海外での視察事例などをまじえて、多様な意見が出されました。結局のところ、放置は許容せず、託児所じゃないことを伝えたり、頻繁に声かけするしかないとのことでした。となると、場所の問題が重要になります。
 面白かったのは、キッズコーナーをどこに設置すべきか、という課題に対して、多くの館に共通していて、開館から幼児コーナーが想定されていなかったので、展示室の奥まった空いたところを充てていたが、目が行き届きにくく、声かけしにくい、安全&防犯上の理由で、試行錯誤を経て、いちばん多くの人の目につくところに移動されたとのことでした。これは、どの館も同じ意見(失敗と経験)で驚きました。それに加えて、適度な距離(近すぎてもダメ)とタイミングで声かけできる場所、隣接して椅子を置いて親の居場所もつくること、などの意見もありました。さすがに皆さんからの経験にもとづく話で参考になりました。
 その後、色んな方々と立ち話状態でフリーディスカッションと交流。何名かのグループで幼児学習の到達点についての議論に。そのなかで印象的だったのは、幼児が家に帰ってから、「身の回りのいっしょ探し」、「似たもの探し」が体験の効果を測るチェックポイントだという意見がでて、皆さん納得。博物館での実物標本に端を発して、「手を動かす作業の実施」、「はじめての出来た!体験」、「家に持ち帰り」、「身の回りのいっしょ探し」といった一連の学びのプロセスをデザインすることが大切との意見が、参加者から自然と沸き上がりました。
 そんなことで、引き続き、宿題を各館に持ち帰って、ふたたび同じテーマで研究会を開催しようということで解散しました。こうした日頃からの他館との交流や研究員・スタッフのお勉強(研修)を通じて、より楽しく学べる博物館づくりをすすめてゆきたいと思います。
スタッフの皆さん、お休みの日にお勉強に勤しんでいただきご苦労様でした。

みつはしひろむね(研究員)

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