ひとはくは1992年10月に開館し,今年で20年目を迎えます。もちろん,準備期間がありますから,ひとはくの実質的な活動期間はもう少し長くなります。さらにその20年のうち,2002年から新展開を始めました。20年の前半と,後半の新展開はほぼ半分ずつになります。新展開も準備期間がありましたから,ちょうど10年ずつなどと刻むことができないのはいうまでもありません。その間,構成メンバーに移動はありましたが,ひとはくとしての活動は一貫したものがあります。ひとはくが何を目指して開館したか,10年後に新展開を必要としたのはなぜか,20年を通じてひとはくが何を成し遂げ,何ができなかったのか,21年目以降のひとはくは,20年間の実績に基づいて,何を目指し,どのような活動を展開すべきなのか,ひとはくは20年目のひとはくに課された問題を直視しようとしています。
20年というのは,個人にたとえると,成人に育つ期間です。機関でも,個人と同じように一定の成長を刻む期間といえるでしょう。ひとはくは成人できるか,大人の機関として貢献できるようになるか,それが見えてくるのが今年だといえそうです。
化石の発掘にともなう諸企画はますます広がりを見せています。化石自体が面白い科学的な展開を見せているだけでなく,昨年のシンポジウムでも内外の評価を得たように,発掘,クリーニング,研究,成果の集成と展示など,一連の活動がひとはく独自の展開を見せています。篠山層群の化石について,今年ももっと新しい展開があることでしょう。
【恐竜化石シンポジウムinたんば】
(発掘体験会) (シンポジウム会場ロビーでの展示)
山陰ジオパークの事業にもひとはくは積極的に参画してきました。今年も,この企画がさらなる盛り上がりを見せることを期待し,ひとはくのもてる力をここでも発揮することになると思います。
昨年から,多少遅れていたキッズへの対応が活発になりました。県内外の活動は,これまでのキャラバンなどの経験を生かし,災害に痛めつけられた東北地方での活動に貢献することもできました。仙台と八戸,久慈での活動が,地域のキッズと関連の人たちに学びの歓びを運んだものだったと考えています。このような貢献が,今年はさらに拡大するように,当該地域の人たちと恊働する企画を展開します。
【キッズキャラバンin東北】
(青森県八戸市) (岩手県久慈市)
新展開が定常化したひとはくの活動が,大人に育ってさらなる飛躍を描き出すのはどのような手だてによってでしょうか。ひとはくのスタッフが主体的に活動するのは当然ですが,ひとはくにかかわっていただくすべての人との恊働もさらに望ましいかたちに高度化させる年にしたいものです。
岩槻 邦男(館長)