バッサバッサと大きな羽音を立てて飛んでいくサイチョウは、アジア・アフリカの熱帯林やサバンナに暮らす鳥です。わたしが調査を行ってきたタイの熱帯林には、大きな黄色いくちばしのオオサイチョウ(写真1、2)、立派な突起があるツノサイチョウ(写真3)、オレンジ色が美しいナナミゾサイチョウ(写真4)、ちょっと地味なキタカササギサイチョウ(写真5)など、13種のサイチョウが暮らしています。

 

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(写真1:カミキリムシの仲間を捕まえた若いオオサイチョウのオス。)

 

 

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(写真2:捕獲したオオサイチョウのくちばしを固定している筆者。)

 

 

 

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(写真3:子育て中の営巣木を訪れたツノサイチョウのオス。) 

 

 

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(写真4:調査用に捕獲されたナナミゾサイチョウのオス。) 

 

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(写真5:キタカササギサイチョウのオス。)

 

 

サイチョウは木の実や昆虫などの小動物を食べます。大きなくちばしを使って、木の実を一つずつ上手につまみ上げて、丸飲みします。1グラム程度の小さな果実なら、一度に200個以上を食べることもあります。主食は木の実ですが、時には小鳥の巣を襲い卵やヒナを食べたり、1メートルを超えるヘビを食べたりもします。

サイチョウは大木のうろを利用して子育てを行います。サイチョウのメスは産卵前に餌の受け渡しができるくらいの隙間を残して、うろの入口をふさぐ形で巣ごもり、ヒナを育てます(写真6)。これはサイチョウ以外の鳥類には見られないユニークな行動です。メスは自由に大空を舞う生活から、狭いうろの中で子育てに専念します。一方、つがいのオスはうろの中にいるメスと大食漢のヒナのために毎日せっせと餌を運びます。ずっとうろの中で過ごすメスと餌を運び続けるオス。サイチョウの子育てはなかなか大変です。

 

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(写真6:子育て中のキタカササギサイチョウの営巣木。入口の隙間から、うろ内にいるメスのくちばしの先端がのぞいている。)

 

メスが営巣を開始してから数ヶ月後、オオサイチョウやツノサイチョウなどの大型のサイチョウでは1羽、ビルマサイチョウやキタカササギサイチョウなどの小型のサイチョウでは2〜4羽のヒナが巣立ち、森へと飛び立っていきます。サイチョウたちが暮らしている熱帯林やサバンナを訪れるのは、なかなか簡単なことではありませんが、兵庫県では神戸花鳥園でオオサイチョウとツノサイチョウを見ることができます。

 

北村俊平(自然・環境マネジメント研究部)

 

 

 

 

 

 

 

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