この地味〜な感じの甲虫ですが、実は兵庫県版レッドデータブックでは、絶滅種に指定されている、超レアな種類なんです。熱心な昆虫愛好家も、めったに見ないと言います。
実は、この虫「アカマダラハナムグリ(アカマダラコガネ)」が、つい先月、豊岡市にある戸島湿地で発見されました。発見された場所は、驚くべきことに、同じく兵庫県版レッドデータブックで絶滅種に指定されているコウノトリの巣のなかからです。
絶滅種と絶滅種の競演というか、共存というか、貴重な発見でした。ただし、どちらも「かつての絶滅種」というお断りがつきますが。
コウノトリは、かつて絶滅しましたが、野生復帰や大陸から野生のコウノトリがやってきています。アカマダラハナムグリも2003年に山東町にて再発見されているほか、県内で数件程度ですが確認されているので、正確には、もはや絶滅種ではありませんが、以前に「絶滅種」としてエキスパートが一度認定したほどに、数が少なく、希少な種であることは間違いありません。
この種を発見されたのは、県立コウノトリの郷公園の獣医さんでして、巣からヒナを引き上げる際に見つけたとのことで、何か変わった虫だと感じたらしく、その後、図鑑で調べたら、「絶滅種だ!、本当か?」ということで、当館に連絡を頂きました。そして、写真や現物で確認すると、やはり本物。
ということで、先日、記者発表させていただき、各紙に記事を掲載してもらいました(記者の皆さん、小難しい話を適切にまとめて下さりありがとうございます)。そして、せっかくなので、小さなスペースですが、当館にて展示することにしました。
展示情報は以下のとおりです。
【トピックス展】
「コウノトリの巣から発見された絶滅種アカマダラハナムグリ 」
期間:2009年6月10日から7月31日
場所:人と自然の博物館4F ひとはくサロン
となります。
今回、採集した標本2点と簡単なパネル解説ですが、とても珍しい昆虫なので、ぜひお越し頂ければと思います。「初夏の鳴く虫と巡回展」と合わせてご覧頂ければと思います。
このアカマダラハナムグリをめぐる生態、コウノトリや戸島湿地との関係については、のちほどのブログ記事で紹介したいと思います。
(みつはしひろむね)