丹波市から恐竜化石が発見されたことを私が知ったのは、昨年8月なかばのこと
でした。篠山層群でもとりわけ化石に乏しい赤色泥岩から出たという事で、とても
驚きました。
発見を受けて9月に行われた試掘においても、大きな血道弓、保存のよい尾椎、
さらには獣脚類の歯まで、予想を超えて出てきてしまいました。
今年の1月から3月に行われた一次発掘の時には、試掘時の成果から、かなり
のものが出てくる可能性は十分にあると思っていました。しかし1月の発表後、丹
波市での盛り上がりや、博物館で行われた展示の人気ぶりをみるにつけ、本当に
出てくるのだろうかと不安な気持ちも一方では持っていました。
しかし、2月15日に手彫りによる発掘が始まって最初の頃は小さな骨片ばかりで、
悪い方の予想が的中したのかと思っていたら、一次発掘開始前に三枝さんが冗
談で言っていた、「尾椎がずらっと並んで出たらどうする?」というのが現実になっ
てしまったのです。
6月になると頭骨の一部まで見つかってしまいました。
このように丹波の恐竜化石については、これまで“期待”が裏切られ続けている
わけですが、次回の発掘ではまた期待を裏切ってくれるのでしょうか、今から楽し
みでなりません。
古谷 裕(自然・環境評価研究部)