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2007年9月アーカイブ

丹波市から恐竜化石が発見されたことを私が知ったのは、昨年8月なかばのこと
でした。篠山層群でもとりわけ化石に乏しい赤色泥岩から出たという事で、とても
驚きました。
発見を受けて9月に行われた試掘においても、大きな血道弓、保存のよい尾椎、
さらには獣脚類の歯まで、予想を超えて出てきてしまいました。


 今年の1月から3月に行われた一次発掘の時には、試掘時の成果から、かなり
のものが出てくる可能性は十分にあると思っていました。しかし1月の発表後、丹
波市での盛り上がりや、博物館で行われた展示の人気ぶりをみるにつけ、本当に
出てくるのだろうかと不安な気持ちも一方では持っていました。

しかし、2月15日に手彫りによる発掘が始まって最初の頃は小さな骨片ばかりで、
悪い方の予想が的中したのかと思っていたら、一次発掘開始前に三枝さんが冗
談で言っていた、「尾椎がずらっと並んで出たらどうする?」というのが現実になっ
てしまったのです。
6月になると頭骨の一部まで見つかってしまいました。

 このように丹波の恐竜化石については、これまで“期待”が裏切られ続けている
わけですが、次回の発掘ではまた期待を裏切ってくれるのでしょうか、今から楽し
みでなりません。

   古谷 裕(自然・環境評価研究部)

ジーンファームは,ひとはくの建物から150 mほど離れたところにあります(写真1)。
ジーンは遺伝子(いでんし)、ファームは農場(のうじょう)という意味の英語。つまり
ジーンファームとは、遺伝子という資源を守り、保存するという役割をもった施設で
す。といっても植物なら何でも保存する...というわけではありません。
ジーンファームは、主として、絶滅が心配されている野生植物、また最近急に減っ
てきている野生植物を対象としています(写真2)。
人工的な環境下で野生の植物を維持していくのはなかなか大変です。参考となる
情報も少ないため、毎日が試行錯誤の連続です。

ジーンファームでは貴重な野生植物を保存しているため普段は非公開ですが、4月,
5月,9月,10月,3月の毎月第3日曜日「はくぶつかんの日」には、午後に見学会を
開催しています。
次回は10月21日(日)の14:00〜15:00に開催します。
ジーンファームを覗いてみたいという方はぜひご参加ください。

                           黒田 有寿茂(自然・環境再生研究部)



写真1 ジーンファーム


写真2 フジバカマ

「おじいさんは山にしば刈りに、おばあさんは川に洗濯に・・・」。

この「桃太郎」の有名な一節を耳にすると、昔の里山と人々の暮らしが自然と頭
の中に浮んできます。桃太郎で語られる「しば」とは、漢字では「柴」と書き、雑木
(主に低木)の小枝のことを指します。
けれども、今の子ども達(もしかしたら、若い大人も!)は、この「しば(柴)」のこと
をほとんど知りません。私たちの今の暮らしには柴に出会う機会は皆無。彼らに
とって「しば」は、グラウンドや公園にある芝生の「芝」なのです・・・。

「しば(柴)」とはこれ↑です。企画展では、本物の柴を背負う体験のできるコーナー
を用意しています!


里山の自然とともに暮らした昔の私たちの暮らしに、親子でふれてみませんか?その
“きっかけ”を企画展「ひょうごの里山、日本の里山」はお届けします。
すてきなことに、兵庫県には「昔ながらの里山」が今も生き続けています。この里山を
残しながら、“生物多様性”・“環境”・“学習”を担う「新しい姿の里山」との関わる方法
も紹介いたします。

くわしい内容はこちら!
http://hitohaku.jp/exhibits/program_exhibition/2007/satoyama_index.html

橋本佳延(自然・環境再生研究部)

フロントスタッフ笹山です。

9月23日(日)にふかたん「トンボとりペナントレース」が開催されました。

隊長の八木先生を先頭に、46名の隊員の皆さんと深田公園へ出発!!
網をひきずりながらのチビッコ達、大きな網を持ったお父さんとお母さん、皆さん思い思いの場所でトンボとりを楽しまれていました。

秋は赤トンボの季節です。さぁ!!網を片手に野外へ出かけてみましょう!!!


(↑)いざ出陣、という感じ。とってもにぎやか。


(↑)家族みんなでトンボとりをして、楽しいひととき。



八木@自然・環境評価研究部です。

トンボとりペナントレースは、つかまえたトンボの種類数と個体数をかけ算して、ポイントを競うというゲームです。私が発明しました。

今回のペナントレースの成績はこちら(↓) 制限時間は30分、家族対抗としました。

私はオニヤンマを2匹も採って、子どもたちから尊敬され、たいへん気を良くしていましたが、徳平ファミリーに敗北を喫しました!!

6年生の徳平拓朗くんは「ひとはく博士と行く ハチ北高原サマースクール」でルリボシカミキリをつかまえた筋金入り昆虫少年ですが、彼以外の家族の方はフツーの人と思っていました。しかし、ペナントレースの結果を見ると、徳平家は、他の家族を圧倒していました。昆虫少年を擁する家族は、知らず知らずのうちに採集力が高くなっているという、驚くベき事実がありそうです。

風が強く、トンボとりのコンディションとしてはあまりよくありませんでしたが、30分の制限時間の間に、みんなで、7種、49個体のトンボが採れました。

ウスバキトンボとナツアカネが多く見られました。ナツアカネは枯れ枝の先に多く止まっていましたが、気づかない家族もあったようです。

(↑)実物と見比べて名前を調べる。


来月になると、アキアカネも山から下りてきて、深田公園はアカトンボでにぎやかになります。

深田公園の秋

2007年9月22日

9月20日、NPO法人シニア自然大学の方が60人ほど、団体で来館されました。「特注セミナー」として、私が「ビオトープ」についての話と実習をしました。

「ビオトープって、生き物のすむ空間だって。トンボ池つくることがビオトープやないですよ。ではみなさん、深田公園でビオトープを発見しましょう」なーんて言いながら、観察をしてもらいました。

今年は季節が半月くらいずれてる感じでこの日も暑かったですが、さすがにチッチゼミがよく鳴いてたりして、秋を感じました。
ふと見ると、水辺の足元にはかわいい草が。。。私なんか、ぜんぜん気づきませんでしたが、シニア自然大学の方が発見されました。


女性の方「この植物は何ですか?」

私「何でしょうかねー・・・かわいいですね。」

女性の方(こりゃダメだという感じで)「そうねえ。虫じゃないものねー」

私「動くもんにしか興味なくて、すいませんね。訊いときますわ」


<お昼休み、研究室で>

(私のとなりの席のふせっち(布施静香研究員)が部屋に戻ってきました)

私(上の写真を見せて)「これ何?」

ふせっち「イボクサ」

・・・秒殺だ!! 3秒かかってない。


ふせっち(図鑑をぺらっと見て)「外国の人ですね。あっ、史前帰化だって」

(意味:外来種ですね。でも、文書記録がある時代以前に持ち込まれた古い帰化植物のようです)

八木「ふーん、そうなんや。サンキュー」

博物館をいちばんよく利用しているのは研究員だなあ、とつくづく思いました。

県民のみなさんも、ぜひ活用してくださいね。
秒殺ですよー 秒殺!


ところで、この日の深田公園には、小学生たちの姿もあって、にぎやかでした。近所の武庫小学校の6年生と1年生のみなさんが、アミとカゴを持って、虫とりを楽しんでいました。

シニアのみなさんもこの風景にはいたく喜ばれていました。6年生と1年生という組み合わせもすてきでした。
こういう経験って、きっと子どもたちの心に残るでしょうね。私も幼稚園の頃の遠足の虫とりが楽しかったことを、いまだに覚えています。


博物館と深田公園、ぜひぜひセットでご利用くださいまし。
大人の方の観察にも、子どもたちの体験にも、もっていこいです。

八木 剛@自然環境評価研究部でした

幼虫

2007年9月21日

幼虫

 博物館の裏のノブドウに、イモムシがとまっていました.
 これはコスズメの幼虫です.
 すごい勢いで葉っぱをかじっていて、上下の葉はもうありません。
 さなぎになるまでに、食糧が足りるといいのですが・・・?

 福田知子(自然環境評価研究部)

 先日、上陸したてのウシガエルに遭遇しました。オタマジャクシからカエルに成長する途中で、まだシッカリ尾っぽがついています。大人のウシガエルは、なかなかのジャンプ力で、すぐに逃げてしまうのですが、コイツはまだ後肢が短いせいかヨチヨチ歩きという感じでした、笑。
 それにしても、ぶちゃいくな顔してますねぇ…。
斜め45度
 ← ポイントの斜め45度

正面
 ← 正面

たそがれウッシー
 ← たそがれウッシー

空を見上げて
 ← 「なんかえぇことないかなー」

 田口勇輝(自然・環境マネジメント研究部)

ひとはく連携活動グループ「あかねちゃんクラブ」(代表:足立 勲)では、日本でいちばん美しい赤とんぼ「ミヤマアカネ」がどんなところにいて、どんな生活をしているか、調査しています。
そのため、ミヤマアカネの翅(はね)に番号をつけて、放しています。
番号のついたミヤマアカネを見つけた方は、ぜひお知らせ下さい。

2006年の調査では、6,372個体に番号がつけられ、船坂川から逆瀬川へ飛んで行ったり、仁川から大阪府池田市まで飛んで行った個体が確認されました。また、2ヶ月以上生きている個体もありました。
2007年度は、7月9日から9月7日までに、仁川、逆瀬川、夙川などで、2,875匹のミヤマアカネに番号がつけられ、放されています。

<発見のコツ>
ミヤマアカネは、河川敷や公園、庭、畑などの日当たりのよい草地に見られます。
背の高いところや木の生えているところはきらいで、足元の草の上にとまっていることが多いです。
翅(はね)に茶色い帯があり、白または赤の4つの点があるので、ほかのアカトンボとまちがえることはありません。11月頃まで見られます

つぎの地区にお住まいの方、とくに要注目!!
 きっとみつかる・・・宝塚市、西宮市、芦屋市、神戸市東灘区
 みつかるかもね・・・尼崎市(武庫川の近く)、川西市、猪名川町、神戸市灘区、北区
 もしみつかったらびっくり・・・三田市、篠山市

番号の書かれたミヤマアカネ(↓)
左に「仁5」右に「5」と書かれています。記号には、H、K、G、W、カなどがあります。

赤くなったミヤマアカネのオス(↓)
オスは秋になると全身が赤く色づきます。


<発見された場合>
つぎの要領でご連絡ください。

電子メールで:akanechanoffice@yahoo.co.jp
1)ミヤマアカネに書いてある記号番号
2)みつけた日時
3)みつけた場所(くわしく)
 例:○○市○○町○丁目 ○○川○○橋の上流、約100m地点/○○公園の入口付近 など
4)みつけた人
 住所、氏名(お子さんの場合は学校学年)、メールアドレス
5)その他の情報
 発見時のようす、環境などなど
 できれば、ミヤマアカネの写真を添付してください。

FAXの場合は、こちらのチラシ「番号のついたミヤマアカネを見つけたら」をプリントし、必要事項を記入して送信下さい。
チラシ(PDFファイル808KB)をダウンロード

いただいた情報は、あかねちゃんクラブオフィシャルサイトに掲示します。
発見者名の掲載を希望されない場合は、その旨お知らせ下さい。

みなさんからの情報をお待ちしてます!!

八木 剛(自然・環境評価研究部)

タヌキマメ全草タヌキマメ花

 今朝,姫路からタヌキマメが届けられました(写真は2枚とも送っていただいた個体です).
タヌキマメは池の土手などの草地に生えるマメ科の植物です.草地開発や土地造成により生育地が減少.1年生植物のため,種子をつける前の草刈りで,急に消えることもあるようです.現在は絶滅危惧種に指定されていないものの,今後,絶滅が心配される植物の一つです.
 この個体は,池の改修工事でできた残土置き場に生えていたそうです.以前は池の土手で多数の個体が見られましたが,改修によりもとの場所では見られなくなったそうです.今回植物をお送りくださった奥田さんは,この地域での絶滅を心配し,種子を採集して自宅での栽培を試みておられます.お送りいただいた植物は,標本にして博物館で保管させていただくことになりました.

 布施静香(自然環境評価研究部)

セトウチホトトギス

2007年9月 4日

セトウチホトトギス
 まだまだ暑い日が続いていますが,少しづつ秋の気配がしてきましたね.
今日は初秋に咲く「セトウチホトトギス」を紹介します.
セトウチホトトギスは,瀬戸内海を囲む地域に分布することからその名がつけられた植物で,近畿・中国・四国地方の一部で見られます.
写真は2枚とも兵庫県三田市内で撮影されたものです(藤井撮影).
みなさんの近所でも咲いていますか?

セトウチホトトギス花
  ■植物好きの方へ■
 セトウチホトトギスの見分けのポイントは下記のとおりです.
 ○茎の毛は下向き.
 ○花被片の付け根が黄色.
 ○花糸や花柱に紫色の斑点がある.
 ※柱頭の紫色の斑点はヤマジノホトトギスにもあるので注意.


 布施静香(自然環境評価研究部) ・藤井俊夫(自然環境再生研究部)

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