先日は,マダケの花について紹介させていただきました.
 今日は最近マダケに非常に多く発生しているタケ類天狗巣病についてご紹介します.

 タケ類天狗巣病は,麦角菌科の糸状菌の一種Aciculosporium takeが感染することで起こる竹の病気です.この菌に感染した竹は,その枝がこぶ状にふくれると同時にそこから無数の小枝が出てほうきや鳥の巣状(昔の人はこれを天狗の巣に例えました)になる病状を示します.
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写真-1 タケ類天狗巣病の初期の症状(つる状)

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写真-2 タケ類天狗巣病の初期の症状(ほうき状)
(花のようにもみえることから「竹が花を咲かせた!」と間違う人もいるようです.)

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写真-3 タケ類天狗巣病の中期の症状(房状)

 病状がすすむと,竹の稈(かん)の生長量や新しい稈(かん)の生える量が少なくなり,病気がひどくなると葉が落ちて竹全体が枯れてしまいます.
 この病気は,原因菌の分生子(とてもちいさな種のようなもの)が竹にくっついて枝や稈(かん)の先にある生長点に寄生することで起きるといわれています.この分生子は雨滴などの水滴内に混じって広がり,その水滴が枝や稈(かん)の先に付くと竹は病気にかかってしまうそうです.ですから,雨の多い梅雨の時期や台風の時期にこの病気がひろがることが知られています.

 このような竹の病〜タケ類天狗巣病〜が近頃西日本を中心に各地で広がり竹林が弱ったり枯れたりしているので問題となっています.
 私たちが兵庫県三田市で76カ所のマダケ林でタケ類天狗巣病がかかっているかどうかを調べたところ,73カ所(96.1%)のマダケ林が病気にかかっており,その1/4はひどく枯れていることがわかりました.
 みなさんのお住まいの地域ではマダケの病気が発生していませんか?一度ゆっくりながめてみてください.
 観察の助けとなる資料を載せましたので参考にしてください.
タケ類天狗巣病発症状況判定シート(PDF 264kb)


                           自然・環境再生研究部
                                 橋本佳延

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