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2007年6月アーカイブ

 竹の花は滅多に咲かないことで有名です。
 花は数十年に一回咲くといった「周期性」があるといわれており、
「60年に一度」「120年に一度」などの説がありますが、残念
ながら同じ場所に生える竹の観察事例が少ないために、何年ごとに
咲くかという正しい数字は明らかになっていません。
 また,開花現象は生育する場所や気候などの影響を受けるため、
必ずしも一定の周期で咲くというわけではないようです。
 ともあれ、竹が種から芽生えて花が咲くまでには、数十年という
長い年月がかかる珍しい現象であることは間違いありません。

 そのたいへん珍しい竹(マダケ)の花が三田市や宝塚市内で咲い
ているという情報が博物館に複数寄せられました!

 ひとはくでは、そのたいへん珍しいマダケの花の標本を採集し,
6月30日(土)から7月8日(日)にかけて4階ひとはくサロン
にて展示いたします。

 実物のマダケの花は一生に一度みられるかどうかの珍しいもので
す。どうぞお誘い合わせの上,ひとはくでごゆっくりご覧ください。

(写真:マダケの花のアップ)

橋本佳延(自然・環境再生研究部)

☆『月刊 たくさんのふしぎ 6月号 アリクイサスライアリ』 
福音館 文:橋本佳明/絵:稲田務 ¥667+税 
    2007年6月10日刊

熱帯雨林は、アリの宝庫です。たとえばボルネオの熱帯雨林では、たった1本の木から200種をこえるアリを見つけることができます。そんな中から今回は特に、アリ喰いアリのツヤヒメサスライアリを取り上げました。巣を持たず熱帯雨林を移動しながら、わずか2mmの体で他のアリの巣を襲っては食糧にしてしまう、驚くべきアリの暮らしを迫力ある絵でご紹介しています。

<絵本の写真>

一本歯の下駄

2007年6月28日

人と自然の博物館の嶽山です。僕は、公園の計画・設計・運営・レクリエーションに関わる研究やイベントに取り組んでいます。僕がひとはくで働き始めたのが2000年で、入ってすぐにその年の夏の企画展に取り組むことになりました。「外であそぼう!」(主担当:客野主任研究員)です。内容は省略しますが、今日はその最中に出会った愛らしい下駄を紹介したいと思います。写真を見て下さい。昭和49年に製作された一本歯の木製下駄です。西宮市に広がる砂浜を駆け回る子ども達が履いていた下駄で、鼻緒の部分がビニールテープをよって出来ているなど、手づくり感あふれる一品です。通常の下駄は二本歯ですよね。だけど、西宮では砂浜という地域固有の環境の中で遊ぶために、より安定性に優れた長さのある一本歯が用いられていました。子ども達が楽しく遊ぶ美しい浜の風景に思いを馳せることのできる、貴重な下駄であるといえるでしょう。

嶽山洋志(自然・環境マネジメント研究部)

今回お勧めなのが、8/18(土)〜8/19(日)実施の「E10 竹野エコツアー」
1泊2日の生活・自然体験です。
朝9時に三田に集合。特急「北近畿」に3時間ほど揺られて豊岡市竹野町へ。
スノーケルは、これはお勧め!本格的にウエットスーツを着て潜ります。
潜った後は、海星や海の魚を手にとって観察♪海の環境学習担当の先生から特徴や生態を教えてもらえますよ!
ご飯は、自分たちで作った夕食。やっぱり、キャンプの醍醐味は、カレーでしょうか。
夜は、みんなで仲良くテントで寝ます。星が見えるかな?
2日目の昼食は、バーベキューです!(私も食べた〜い)
気になる参加費用は小学生が8,580円 中学生が13,680円となんとリーズナブル!(この費用の違いは交通費です。)対象は、小学校高学年〜中学生です。この夏に貴重な体験をして忘れられない思い出をつくりませんか?夏休みの自由研究の参考にもなりますよ。


申し込み締め切りは。7月31日(火)まで。「まだまだ、先」なんて思わないで、思い立ったらすぐ申し込みを!
 申し込みはこちら!→→→ http://hitohaku.jp/education/07syousai/E10.html         
「ひとはくレター」編集長  小林美樹  ヾ(。●∀●)

企画展では、6年前に淡路島沖で捕獲されたナガスクジラとアオザメの標本を公開します。解体したクジラの骨は土に埋め、バクテリアの働きで肉が完全に分解するのに約二年を要しました。その後、骨の脂肪を取り除き、ようやく骨格標本ができました。今回は頭部の骨格を組み立てて展示します。
展示の概要は当館の下記ホームページをご覧いただくとして、ここでは瀬戸内海を代表する生き物として展示予定のナメクジウオを紹介します。

【写真 左 ナメクジウオ  写真 右 ナメクジウオ  (写真提供:小林真吾氏)】

ナメクジウオは、脊椎動物の祖先の姿をいまにとどめる原始的な生き物です。体長は5センチくらい、体は扁平で細長く、柳の葉のような形をしています。瀬戸内海では、広島県三原市有竜島の生息地が国の天然記念物に指定される希少な生物です。数年前に、兵庫県水産技術センターのアナゴ稚魚調査で底引き網にたくさん入ったとの情報を入手し、センターのご厚意により5月の調査に同船させて頂きました。ナメクジウオ9個体を採集しました。目下、生きたまま展示すべく飼育中(のつもり?)ですが、ナメクジウオは砂にもぐったまま姿を見せてくれません・・・。


企画展の案内:http://hitohaku.jp/exhibits/program_exhibition/2007/setonaikai_index.html

佐藤裕司(自然・環境評価研究部)

知っている人もたくさんいるかと思いますが、実は六甲山にはたくさん「モリアオガエル」が繁殖しています。六甲山の山頂付近には意外にも平らなところが多く、池がたくさん作られています。
この池は、氷を作るために作られたものだそうで、神戸に氷を運んでいたそうです。

六甲山に生息するモリアオガエル・写真 左:三橋弘宗・右:堂馬英二撮影 クリックして下さいね

そんな人工の小さな池に、今はモリアオガエルがたくさん産卵しております。
もともと、六甲山にはモリアオガエルが生息していなかったと考えられており、誰かが森林植物園に放したと言う説が有力ですが、定かではありません。
ですが、池にはたくさんモリアオガエルがいるので、まずは観察するのと同時に、六甲山の山頂の池にはどんな生物が生息しているのか調べてみようということで、「六甲山自然保護センターを活用する会
」の皆様が調査を開始されました。今年いっぱいは調査が継続される予定です。
今まで、六甲山の山頂付近の湿地や池の生物相はあまり知られていませんでしたので、結果が楽しみです。

この観察会で、ちょうど6月16日に現地へ行ったところ、産卵のまっさかりでしたので、まだ観察できるのではないかと思います。六甲山に登山に行かれる方は、ぜひ池の周辺を観察して頂ければと思います。池の中を除けば、モリアオガエルのオタマジャクシや「茶色いモリアオガル」が見つかると思います。

moriao_brown.jpg
●ちょっと珍しい茶色のモリアオ
(みつはしひろむね)

ハチ北ホタル探険隊

2007年6月22日

ハチ北高原観光協会のみなさんとの連携プロジェクト、第二回です。

前回は、春の植物を観察しました。
今回は、6月20日(水)から21日(木)にかけて、「ハチ北ホタル探険隊」と題して、ホタル調査に取り組みました。ハチ北高原は、兵庫県に生息する10種のホタルがすべて見られる珍しい場所です。どんなホタルが、いつごろ、どのあたりに見られるのかを調べておいて、ハチ北を訪れる方々をご案内しようというもので、1日目は25名、2日目は21名が参加されました。早ければ来年から、民宿、旅館で、ホタル観察ツアーが開催されるようになるでしょう! ご期待ください。

テキストには「プチ図鑑 兵庫の螢」を用いました。みなさんもぜひご利用下さい。ここにはハチ北高原で撮影した写真も多く使用しています。



ホタルの季節に咲くホタルブクロです。ほかにもいろんな花が咲いていましたよ。



<左> まずは、明るいうちに、調査ポイントの環境を見て回ります。ホタル調査の鉄則は、明るいうちに一度現地の環境を見ておくです。お客さんをご案内するには、ホタルがいるだけではなく、観察のしやすさ、安全性も重要なポイントです。
<右> ノブドウのつるにアカガネサルハムシをみつけました。小さいけれど美麗な昆虫です。



<左> 昼間に見た場所を、夜になってもう一度見に行きます。民宿街は予想以上に街灯が明るく、ホタルがすむにはちょっと厳しいかも。。。山間部にあるハチ北では、ゲンジボタルがちょうど出始めでした。これから7月にかけて数が増え、ヘイケボタル、ヒメボタルも現れます。
<右> これは、昼間に活動して光らないオバボタル。昼間に活動するホタルはほかにも多くいますが、今回はオバボタルしか見られませんでした。ほかの種類は、これからの季節に出てきます。



<左> 2日目は、前日の観察結果を班ごとにまとめ、発表し、いろんな質疑が交わされました。みなさん、明るくていいですね! 今回も不思議なハチ北弁が明らかになりました。カワニナのことを大笹集落では「さんにゃ」と呼ぶそうです。どういう字を書くのかは??でした。山蜷かなあ・・・?
<右> ホタルをしばらく(といってもせいぜい1週間)飼うにはペットボトルに入れるのがオススメです。虫かごだと、乾燥ですぐに死んでしまいますよ。エサはティッシュに含ませた水だけ。ホタルの成虫は水を飲むだけです。


八木 剛(自然・環境評価研究部)

 今年も中学校2年生が、さまざまな勤労体験をしました。
 今年のトライやるウィークでは、5月29日(火)から6月8日(金)までの期間、地元三田市内
 はもとより、篠山市、丹波市、宝塚市より、のべ11校30人の中学校2年生が、博物館の5研
 究部と3課に分かれて実際の業務を体験しました。

 体験内容は、わが国有数の規模をほこる博物館にふさわしく、館周辺の美化やフロアスタ
 ッフの補助、図書館の蔵書の整理、各研究員の研究や資料作成の補助など多岐にわたり
 ました。
 中学生は毎日の業務に楽しく取組んだようですが、「笑顔を絶やさない接客マナー」や「華
 々しい研究を支える地道な作業」などを通して、社会の厳しさも垣間見たようです。

 これから、中学生の感想のごく一部を紹介します。
 「一番心に残った言葉は、『標本は大切に扱って』です。昆虫の命をもらって標 本にしている
 のだと思いました。」 (Y中学男子)

 「先生に、石を見せにいくときのワクワク感はきっと忘れないと思います。」
  (S中学校男子)

 「私はここで働かしてもらい、博物館は裏でたくさんの人が支えているからこそ、 成り立って
 い るのだなと思いました。」 (S中学校女子)

 「もし、自分がお客様だったら、掃除のされていない展示物を見ても面白くない と思うと思っ
 た ので、しっかり掃除をしようと思いました。」(Y中学校男子)

「ぼくは最初ハチがすごく苦手で、触れと言われたときもすごく怖がっていたけ れども、だん
 だん慣れて、今は平気で触れてとてもうれしいです。」 (F中学校男子)

「花を植えるのは花がものすごく多く、ものすごく疲れました。」
(H中学校男子)

「『ありがとう』の大切さがわかりました。」
(K中学校女子)

「このトライでしたことを活かして、将来自然に関する仕事をしてみ たいと思います。」
(N中学校男子)

「私は、結構単調な仕事をしたのですが、その中で根気が必要なこ と、どんなつらい 仕事
 でも楽しんでやることが大切だということを、改めて実感しました。」
(S中学校女子)

「博物館には、たくさんの人が仕事をしていて、どんな会社でもいろい ろな人の支えが必要
 なんだなと思いました。」(A中学校男子)
 
担当する職員の話を、姿勢を正し、目をまっすぐ見て聞く姿勢は、博物 館にさわやか風を送
 り込んでくれているように感じました。

 館内で接するお客様や担当者も微笑が漏れ、私たち大人にとっては、 中学生から新鮮な元
 気をもらう ことができた2週間でした。      
                         (トライやる 担当 春名)

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