深田公園のスイセン

2011年3月31日

 公園には数種類のスイセンが植えられています。スイセンの仲間は夏の間、地上に葉を出さず休眠しています。春先になるといち早く芽吹き、花を咲かせます。暖かいところでは1月から花が見られますが、深田公園では3月に入ってからです。スイセンは地中海沿岸からユーラシアにかけて40種ほどが分布していますが、副冠(ふくかん:中央の黄色い筒状の花弁)が小さいスイセンのグループと副冠が大きく発達するラッパズイセンのグループがあり、ヨーロッパでは1850年頃から品種改良がおこなわれ、1万種以上の園芸品種が知られています。

 スイセンの花は子房下位なので、子房上位のユリ科と区別され、ヒガンバナ科に分類されます。白い6枚の花弁に見える部分は、外側の3枚がガクで、内側の3枚が花弁です。ガクと花弁の区別がつかないのは、ユリ科と共通しています。内側の黄色の筒状になった花弁はスイセン特有のもので、とくに副冠(ふくかん)と呼ばれています。国内では、海岸の暖地に見られ、越前海岸や淡路島の灘黒岩、立川の水仙郷は有名です。日本のスイセンは3倍体で、種子をつけないことから、古く中国を経由して渡来したものと考えられています。日本で初めて「水仙」が文書に登場するのは室町時代になってからです。

 スイセンの学名(ナルキッスス)はギリシャ神話に登場する美少年、ナルキッススに由来しています。ニホンズイセンの花言葉は「自己愛」、ラッパズイセンの花言葉は「報われぬ恋」とされています。今年は水仙の芽吹きが遅れているので、サクラの花と同時に楽しめるかもしれません。

 

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 ラッパズイセン全景(縦位置)        ラッパズイセン全景(横位置)

 

 

 

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    ニホンズイセン全景            ニホンズイセンの花の拡大。

                                 外側の白い部分が花冠。

                                 内側の黄色い部分が副花冠。

 

            Narcissus 04.jpg

               ニホンズイセンの花。

               側面から見たところ。

            左の濃い緑色で紡錘状に膨らんだところが子房。

 

             藤井俊夫(自然・環境再生研究部)

 

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