さて、謎の講談師河南堂珍元斎でございます。
ミニ企画展「ゾウが描いたぞう・・・・」のお話の続きでございます。http://hitohaku.jp/blog/2010/08/post_818/ その1
http://hitohaku.jp/blog/2010/08/post_850/ その2(増井光子さんのメッセージ)http://hitohaku.jp/blog/2010/09/post_864/ その3(ゾウの絵展誕生秘話)
前回のゾウの絵展誕生のエピソードの続きをば。
さて、ゾウの絵展誕生の一席でございます。
さあ、展覧会計画はとんとん拍子ですすみ、「ひとはく生物多様性大作戦!」ミニ企画展の準備はすすみます。今年の2月20日、珍元斎は企画に巻き込まれた…いや賛同した大谷剛研究員(カレはなんと増井さんと多摩動物園時代同僚だった…)と、「絵を描いているゾウの目が楽しそうだ…」と写真を見て興味をもった世田谷美術館の高橋学芸員とタイのゾウの絵に注目していた兵庫県立美術館の岡本学芸員の4人で、ゾウのお絵描きの撮影と絵画の選定のため、いざズーラシアへ。・・・
まずは、エレファントライブでゾウのお絵かきを撮影します。早朝9時半スタートにかかわらずたくさんのお客様に囲まれ、ゾウさんに飼育員がまたがり、さっそうと登場いたします。
:飼育員さんはなぜか男前揃い
そして、チャメリーは点描、シュリーは10と描きます。迷いのない筆運びにみんなびっくり…。
「シャバース!」というアッサム語のほめ言葉と拍手で、ゾウさんたちの気持ちを盛り上げます。
人馬一体いや人象一体の絵画が完成!
・・・ワンダフルいやパオーダフル!
こんなことも出来ます。ゾウさんの鼻はすごいゾウ!
その感激を引きづりつつ、一同ゾウの獣舎へ。なんと、そこは作品の山!
「ひとはく」を描くのに2カ月練習してくれたそうです。ありがとう。シュリー。
そこにあった約200点の作品から学芸員さんたちと展示作品を選びます。どの作品もすばらしく、選定はなかなかむつかしい…。まあ、なんとか40作品程度に絞り込んだのでございます。
額装、軸装と展示準備はどんどん進みました。そして、珍元斎はタオルぬいぐるみの動物園をやってると聞き、さっそく愛媛県は今治のタオル美術館へ飛びます。そこでも、ゾウの絵パワーはすさまじく、本当は百貨店などの販売促進にしか貸していないという動物園のゾウのぬいぐるみを借りることと記念グッズの特製タオル制作の交渉も成立!することになったのでございます。
一方、「ゾウになって絵を描きたい!」といういつもの無理難題に応え、大道具担当Y.フジワラによるハリボテのゾウのあたまも完成!
なかなか巨大で、制作場所となった自宅の駐車場には、毎日通学中の小学生が楽しみに立ち寄っていたとか…。
途中、珍元斎の本体がひとはくから異動するという障害?も乗り越え、なんとか展示期間も決まった7月7日、増井さんから珍元斎あてにメールで展覧会の冒頭を飾るメッセージも届きました。
http://hitohaku.jp/blog/2010/08/post_850/
そして、「さあ、展覧会!」という矢先の7月13日。突然、英国から悲しい知らせが…
残念ながら、増井さんは英国にて帰らぬ人となられ、この展覧会を見てもらえないことになってしまいました。
珍元斎は呆然…としばらくしておりましたが、会期はどんどん近づいて参ります。
気を取り直して、紹介パネルやキャプションづくり、鼻紋、足紋の貼り付けなど、途中、熱中症で倒れるというピンチもくぐり抜け、多くのみなさまの支援のもと、2010年8月7日。なんとか展示初日を迎えたのでございます。
期間中、感想ノートというものを設置しました。たくさんの方々にメッセージを書いていただき、4冊にもなりました。みなさまのお気持ちをズーラシアの仲間たちに伝えたいと思います。
亡き増井さんのご冥福を祈り、その志を引き継ぐとともに、多くの方々にゾウの絵をごらんいただき、地球でともに生きる多様な生き物たちの多様な文化の可能性を感じていただければと思っています。ゾウの絵展もあと少し10月6日まででございます。お見逃しなく!ゾウもお願いするゾウ!
ひとはく地域研究員 川東丈純