さて、謎の講談師河南堂珍元斎でございます。

 時は9月12日(日) 久々にひとはくにて、講談をしました。約半年ぶり…今回はミニ企画展「ゾウが描いたぞう…」にちなんだイベントで増井さんに聞いたお話をもとにしました、講談「絵を描くゾウ!」の一席でございます。
聴衆もワクワク

 さあ、ここはタイ王国の森の中。時は1989年のことでございます。
 森へはいりますと春先のことで、空にはサイチョウがバサバサとびまわって、下にはラフレシアの花ざかり、陽炎がこう燃え立ちまして遠山にはスーッと霞の帯を引いたよう、オランウータンたちが喜ぶドリアンのくさいにおいがだたよってこようという本陽気。
 ゾウが出てきたぞう

 ゾウ使いの少年、カナンはお父さんといつものようにゾウのドウチンとゲンサイと木を運ぶ仕事をしております。カナンはドウチンの背中にのって、ドウチンはとっても力持ち。大きな丸太も鼻でつかんで、ほぃほぃっと運んでいきます。
 ひと仕事終えまして、カナンはゾウたちの体をあらってやるとドウチンもゲンサイもパオっと気持ちよさそうな声をだしました。

あらよっと!!

 「えらいこっちゃ!政府が森の木を切るのんを全面禁止にしてしもた。」
カナンのおとうさんが疲れた声でいいました。
 「ただでさえ、機械化で仕事なくなったのになあ。とうちゃん。」
 「ほんまやで、3千年も続いてきたゾウと人の文化が滅びてしまうがな。」
とふたりは元気がありません。

 タイに住むアジアゾウはその長い鼻を巧みに操る知能が評価され、タイ北部の森林では木材の運搬に広くゾウたちが利用されていました。
 乱伐が原因とみられる土砂崩れや洪水が発生し大きな被害が出たことから、タイ政府は1989年から森林伐採を禁止した。それで失業した象と象使いは3000 頭。カナンたちも突然仕事がなくなったのでございます。

 そんなある日、2人の外人、正確にいうとロシア系のアメリカ人が訪ねてきました。
 「ハローわたしはコマールといいます。」
 「なに?わしらが困っとんや。なにがコマールや。おちょくっとんか?この外人。」
 「ハローわたしはメラミッドといいます。」
 「なにがピラミッドやねん。ここはタイや!エジプトちゃう。」
 二人の外人は顔を見合わせて笑いました。

聴衆もグイグイ引き込まれ・・・
 とまあこんな感じで物語はすすみ、
 この困ったピラミッド、いやコマール&メラミッドというアーチストのおかげで、タイのゾウたちは失業せずに、お絵かきで飯が食えるようになったというお話。

 ゾウの頭役の河南堂摩訶背奈斎と売斎、写楽斎は大変でした。でも足が6本。
 なんかへんですがみなさんゾウに見えたでしょうか?

大変な重労働?!

途中、ゾウさんはお絵かきをしました。鳩いやハートに見えますか?


ハートに見えます?

 

最後はみんなでゾウさんになってお絵かき。
ハリボテのゾウさんは、本物みたいに鼻は器用に動きませんが、ちょっとゾウさんの気分になれたような感じでございます。
 

 

ハリボテゾウさん作品集!の出来上がり!ゾウの絵にほんとに似ています。

みんなの作品展

今度このハリボテゾウさんが現れるのは、次の巡回先、今治のタオル美術館。
ゾウの絵伝道師ちんげんさいとハリボテゾウさんの旅はこれから。また現地からリポートしたいと思います。

タオル美術館外観ゾウの絵展は10月6日まで。みなさま、ぜひひとはくへゾウさんの絵に出会いに来てください!
10月6日まで

 

ゾウ講談+ゾウになって絵を描くゾウの一席でございました。

 

ひとはく地域研究員 川東丈純

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