さて、謎の講談師河南堂珍元斎でございます。
ミニ企画展「ゾウが描いたぞう・・・・」のお話の続きでございます。 http://hitohaku.jp/blog/2010/08/post_818/ その1
http://hitohaku.jp/blog/2010/08/post_850/ その2(増井光子さんのメッセージ)
前回は増井光子さんのメッセージを掲載いたしましたが、今回はゾウの絵展誕生のエピソードをば。
さて、ゾウの絵展誕生の一席でございます。
2009年2月のこと、コウノトリの郷公園長でよこはま動物園ズーラシアの増井光子園長が人と自然の博物館にやってきました。
増井さんはたまたま案内を頼まれた旧知の珍元斎と館内を歩きながら、
「ゾウが絵を描くって知ってる?うちのゾウなかなかいい絵を描くのでね。美術館で展覧会をと、知り合いの美術館に頼みにいったら、『ゾウの絵はアートじゃない。』といわれてね。あなたはいろんなグッズ作ってるみたいだけど、ゾウの絵でもできないかな。それに、どこかで展覧会できないかなあ?」
珍元斎は、美術館にも博物館にも属さないような文化のすきま部分を得意としております。
「ほな、さっそく見に行きますわあ。」と翌日、駅伝大会開催中のズーラシアの園長室を訪ねます。
とにかく楽しい事が大好きなこの男、えらいスピードでございます。
珍元斎はビックリ仰天!そこには、感性あふれるゾウのアートがあったのでございます。
でも、すぐには展覧会の目途はたちません。珍元斎はためしにゾウの絵の絵ハガキを試作したりしながら時期到来を待ちました。そして、2010年10月にCOP10が名古屋で開かれることになり、ひとはくも生物多様性の展示計画の検討をはじめました。そこで、そこに絡ませることを思いつきます。
「ゾウの絵も多様ないきものの営みやと思うんですけど、多様性の切り口で他の動物の絵と比較したらおもろいのとちゃいますか?ほかの動物は描けへんのですか?」と増井さんに相談。
「オランウータンやチンパンジーは描きます。でも絵が完結してなくて、キャンパスから絵がはみ出ます。ゾウはキャンパスも認識していて、はみ出さないし、これで終わり!とちゃんと完結します。やっぱりゾウの絵はすごいです。他にはアメリカではイルカなんかで描くのがいるようですが・・・」との増井さんの言葉に、あつかましいこの男は、「はな、なんとか手に入れてください!」
なんと、その年の秋、増井さんは米国に会議に行きます。そして、約束どおり、インディアナポリス動物園のバンドウイルカやシロクマなどの仲間たちの多様な作品を手に入れたのでございます。
「イルカはどうやって描くんですか?」と聞く珍元斎に
「嘴の部分に筆をくくりつけて描きます。」と笑顔で答える増井さん。
その後、とんとん拍子に展覧会計画はすすみまして、ゾウを柱にしたいきものアート展にしようということで、イルカくんたちもあわせて、ズーラシアのゾウたち初の園外展示として、2010年の「ひとはく生物多様性大作戦!」の中で展示することと相成りました。
「ほんまにできるんかいな。ひとはくってすごいとこやなあ。」
と珍元斎は半信半疑・・・つづく・・・
ひとはく地域研究員 川東丈純