ユニバーサル・ミュージアムをめざして
全国(ぜんこく)の 失語症(しつごしょう)の
皆(みな)さんと ご家族(ご・かぞく)が
人と自然の博物館(ひととしぜんのはくぶつかん)に
お見え(お・み・え)になりました。
この原稿(げんこう)は、失語症者(しつごしょうしゃ)にとって 理解(りかい)しやすい 文章(ぶんしょう)を めざして、兵庫県(ひょうご けん) 三田市(さんだ し)にある 失語症(しつごしょう) 当事者(とうじしゃ)の 小規模(しょうきぼ)作業所(さぎょうしょ) 「トークゆうゆう」の 皆(みな)さんと 共(とも)に、三谷 雅純(みたに まさずみ)が 作成(さくせい)したものです。文責(ぶんせき)は 三谷(みたに)にあります。 |
前田 隆(まえだ たかし)さん撮影(さつえい)
全国(ぜんこく)の 失語症(しつごしょう)の 皆(みな)さんが、6月(がつ)12日(にち)に 人と自然の博物館(ひととしぜんのはくぶつかん)が 展示(てんじ)している ティタノサウルス形類(−・けいるい)と 呼(よ)ばれる 首(くび)の長(なが)い 恐竜(きょうりゅう)の 化石(かせき)を 見(み)に来(こ)られました。
三田市(さんだ し)で6月(がつ)13日(にち)におこなわれた 「第4回(だい4かい) 言語(げんご)リハビリ 交流(こうりゅう)の つどい イン 兵庫(ひょうご)」に 参加(さんか)されるために 来(こ)られたのですが、12日(にち)は 三田市(さんだ し)のようすを 見学(けんがく)して 回(まわ)られたのです。
失語症(しつごしょう)というのは、脳(のう)の 血管(けっかん)の 病気(びょうき)や、交通事故(こうつう じこ)などで、脳(のう)の 中(なか)の 言語中枢(げんご ちゅうすう)に ダメージをおってしまい、それまでは 普通(ふつう)に しゃべっていたのに、突然(とつぜん) しゃべれなくなるという 障がい(しょうがい)です。高次脳機能障がい(こうじ のうきのう しょうがい)の 一種(いっしゅ)で、「聞く(きく)」 「話す(はなす)」 「読む(よむ)」 「書く(かく)」といった 大切(たいせつ)な 機能(きのう)のどれか、人(ひと)によっては、その内(うち)の 複数(ふくすう)の 機能(きのう)が 障がい(しょうがい)を うけるものです。
同時(どうじ)に、言語中枢(げんご ちゅうすう)だけでなく、聴覚中枢(ちょうかく ちゅうすう)や、視覚中枢(しかく ちゅうすう)が ダメージをおったため、耳(みみ)が 聞(き)こえなくなったり、目(め)が 見(み)えなくなっている 人(ひと)も いらっしゃいます。
1) 耳(みみ)から つたわった 音(おと)を 認識(にんしき)したり、理解(りかい)したりする 脳(のう)の 部位(ぶい) 2) 目(め)から つたわった 像(ぞう)を 認識(にんしき)したり、理解(りかい)したりする 脳(のう)の 部位(ぶい) |
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わたし(三谷雅純 みたに まさずみ)と 生涯学習課(しょうがい がくしゅう か)の 平松紳一(ひらまつ しんいち)が 対応(たいおう)しました。展示(てんじ)は、平松(ひらまつ)が 説明(せつめい)しました。
失語症(しつごしょう)の 皆(みな)さんには、脳梗塞(のう こうそく)や脳出血(のう しゅっけつ)を おこした方(かた)が 多(おお)いので、マヒのある方(かた)や 車いす(くるま・いす)を ご利用(ご・りよう)に なる方(かた)が 多(おお)くいらっしゃいます。
人と自然の博物館(ひととしぜんのはくぶつかん)は、普通(ふつう)に 入(はい)ると、最初(さいしょ)に 長(なが)い 階段(かいだん)を おりなければ いけません。そのために、できるだけ 階段(かいだん)など 段差(だんさ)の ない出入り口(でいりぐち)から ご案内(ご・あんない)する ことにしました。
階段(かいだん)を下(お)りなくてもいい 出入り口(でいりぐち)は、通常(つうじょう)の 出入り口(でいりぐち)の 上(うえ)に あるのですが、少(すこ)し、見(み)にくいようです。
段差(だんさ)のない 出入り口(でいりぐち)は、通常(つうじょう)の 出入り口(でいりぐち)の 一階(いっかい) 上(うえ)のあります。(撮影 三谷 さつえい みたに)
(撮影 三谷 さつえい みたに)
「ひとはく 恐竜(きょうりゅう) ラボ」は スロープで 上(あ)がれるのですが、下(お)りる 時(とき)には、少(すこ)し スロープが 急(きゅう)です。ガラス越(ご)しにですが、恐竜化石(きょうりゅう かせき)の クリーニング作業(さぎょう)を 見学(けんがく)できます。まず、はじめは 「ひとはく恐竜(きょうりゅう)ラボ」を 見学(けんがく)して いただきました。
「ひとはく恐竜(きょうりゅう)ラボ」
(撮影 三谷 さつえい みたに)
スロープが付(つ)いています。
(撮影 三谷 さつえい みたに)
前田 隆(まえだ たかし)さん撮影(さつえい)
段差(だんさ)のない 出入り口(でいりぐち)から はいってすぐの 部屋(へや)を、とっておきました。部屋(へや)のむかいが トイレです。疲(つか)れた 方(かた)は、見学(けんがく)の 間中(あいだじゅう)、いつでも 休(やす)めるように しておきました。しかし、休(やす)まれる 方(かた)は いらっしゃらないようでした。
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恐竜(きょうりゅう) コーナーの 展示(てんじ)は 出入り口(でいりぐち)から 一階(いっかい) 下(お)りた フロアに あります。「丹波の 恐竜 化石(たんばの きょうりゅう かせき)」です。みなさん、このコーナーを 楽(たの)しまれたようです。
外出介助(がいしゅつ かいじょ)ボランティア「かけはし」
前田 隆(まえだ たかし)さん 撮影(さつえい)
残念(ざんねん)なことがふたつ ありました。それは、
◎ 失語症(しつごしょう)の 方(かた)の 中(なか)には、聴覚障がい(ちょうかく しょうがい)の 方(かた)が おられます。今回(こんかい)も おられました。説明(せつめい)は 音声(おんせい)だけ でしたので、聴覚障がい(ちょうかく しょうがい)のある 失語症者(しつごしょう しゃ)には、説明(せつめい)が わからなかったようです。説明用(せつめい よう)の プリントなどを 用意(ようい)してあれば よかったですね。後(あと)で 気(き)がつきました。すいませんでした。
◎ 今回(こんかい)は いらっしゃいませんでしたが、失語症(しつごしょう)の 方(かた)の 中(なか)には、視覚障がい(しかく しょうがい)の ある方(かた)も おられます。「丹波の 恐竜 化石(たんばの きょうりゅう かせき)」の 展示(てんじ)は、ほとんど ガラス・ケースに はいっているため、視覚障がい者(しかく しょうがい しゃ)には 「何(なに)もわからない」と いったことがあります。触(さわ)っていただけるような 展示(てんじ)であれば よかったのにと 思(おも)いました。
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帰(かえ)りは、もう一度(いちど)、最初(さいしょ)の 出入口(でいりぐち)に もどって、迎(むか)えのバスや、失語症(しつごしょう)の 小規模(しょうきぼ)作業所(さぎょうしょ)「トークゆうゆう」の 介護用(かいご よう) 乗用車(じょうようしゃ)に 乗(の)られて 博物館(はくぶつかん)を 後(あと)にされました。
なお、わたしも 脳梗塞(のう こうそく)の 後遺症(こういしょう)で、右半身(みぎ はんしん)に マヒが残(のこ)り、少(すこ)し 構音障がい(こうおん しょうがい)(=発声器官〔はっせい きかん〕のマヒ)が あります。行(い)きとどかぬところも あったと 思(おも)います。そんな時(とき)は、ぜひ おっしゃってください。ありがとうございました。
兵庫県立大学 自然・環境科学研究所
(ひょうごけんりつだいがく しぜん・かんきょうかがく けんきゅうじょ)
/ 兵庫県立人と自然の博物館
(/ ひょうごけんりつひととしぜんの はくぶつかん)
三谷 雅純
(みたに まさずみ)
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2010.06.23