今の時期、ひとはくに来るともれなく聞くことのできる鳥の声があります。
「ひーぴょりぃ ぴぃ」と朗らかな声で鳴くこの鳥は、『イソヒヨドリ』です。
ひとはく前のサンフラワーの屋根の上でよくさえずっています。イソヒヨドリはなわばりを持
つので、このあたりで見られるのはたいてい同じ個体です。彼♂は、時々はエントランス
前の国旗ポールのてっぺんや、ウエルシアの屋根でも鳴いてみたりします。それから、エ
ントランス前の芝生の上で、歩いたり、走ったりしながら昆虫などのエサを捕っています。
夜に博物館に来られる方はあまりいないでしょうが、実は夜にも鳴いているのです。
静かな住宅街に明るい声が響き、逆にちょっと物悲しい雰囲気を感じさせます。
<写真>ひとはくの彼。2008年4月13日。
これほど必死でさえずっている理由のひとつは、自分がここにいるのでなわばりに入って
こないようにと他のオスに警告するためです。
もうひとつの理由は、近くにいるメスの気を引くためです。オスの声に引かれたメスは、オ
スを吟味してつがいになるかどうかを決めます。メスに気に入られれば、巣を持ち、一緒
に子育てします。去年はおそらく、ウエルシアの屋根の隙間に巣を構えていました。ひと
はくでは、6月になると巣立ったヒナを連れた親子を駐車場のあたりで見ることができます。
<写真>巣立ったばかりのヒナ。おぼつかない感じ。2007年6月。
ひとはくにお越しの際は、じゃましない程度に彼の生活を観察してみてください。
今年も無事につがいがつくれるかな。遠くから温かく見守ってくださいね。
良い写真がないので、八木先生の記事をご参照ください。たぶん“彼”です。
遠藤菜緒子(自然・環境マネジメント研究部)